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4 Oct 2024

 



2025 FLOWER CALENDAR

 今年もこの季節になりました。16日から始まる東京のグループ展に、何とか間に合いそうです!よかった。

 今年のテーマは「花」一本に絞りました。とりとめなくスケッチしてきたものを、12か月に配分する、その作業に苦心しつつも愉しくて、また来年も花にしよう!と気だけは早い自分です。

 以前、友人と3人で好きな花について話したとき、ふたりは迷わず大輪の花を挙げていた。私はと言えば守護花にヘザー(エリカ)を選ぶくらいですから、小さな花ばかり。今回もそんなチョイスになりました。

 唯一大輪的カラーリリー(8月)も開花前を描いたもので、楚々として凛として美しかった。8月は暑さに参る季節なので、この花に任せることに。

 精細なプリントに定評のある印刷会社にお願いしました。この花もきれいに色が出るといいな。庭で咲いている、カタバミ科カタバミ属の 'Oxalis Triangularis' です。日本では「紫の舞」と呼ばれる花。とても丈夫で、暑さにも寒さにも負けません。紫の三角の葉が個性的な南米産。ブローチみたいに、小さな庭のアクセントになってくれる。おそらく来年も残暑厳しい、9月を担当してもらいます。




 来週印刷が仕上がってきたら、あらためて写真を撮ってみます。グループ展の準備にパンパンの毎日ですが、到着がとても愉しみ。

 ご予約について、shopページを更新しました。どうぞよろしくお願いします。(グループ展でも、もちろん販売します♪)

8 Sept 2024

 



グループ展開催のお知らせ

 またまたひどく空いてしまいましたー。困った自分です。

 その間に季節は春から夏から夏から夏へ。そして秋・・・とはまだ言えず、昼間は変わらぬ猛暑が続いていますね。皆さま、体調はいかがですか? 私はビタミンCとBにすがって、なんとか踏ん張っております。

 暑さは10月初旬まで続くそうで、となるとやっと本当の秋らしくなる頃でしょうか。10月の16日から27日に、東京池袋の「自由学園明日館」敷地内にある、JMショップギャラリーにて、お教室、HIC と HAC の展示会を催します。参加メンバーみんな、現在出品作制作の大詰め中です。

 今回あえて「展示会」と紹介させて頂くのは、販売をするからです。今まで8回、銀座ACギャラリーさんで、作品の発表会としての展覧会を開いてきました。カード類の販売等はしていましたが、多くの作品は非売品。しかし今回は違います。ほとんどを販売作品としてご覧頂くのです。冒険です。

 水彩画、額装コラージュのほかに、HAC(アートクラス)の課題からインスピレーションを得てメンバーが制作した、ファブリックグッズ、ステイショナリー、ブローチなどのギフトグッズをお披露目。講師自ら言っちゃいますが、どれも手に取る価値あり。素敵です!

 私のクラスには様々なセンスや素養をお持ちの方、プロフェッショナルなお仕事をされてきた方がおいでで、Zoomレッスンになってからは特に、それぞれのキラキラした個性がまっすぐこちらに伝わってきて、これは何かできるゾ!と思いました。

 タイトルの 'HOMEWORK' は、イギリス時代から帰国後もずっとお世話になった雑誌 'UK Country Living’ にその頃あった連載ページのタイトルから頂きました。毎号シンプルで、しかも愛すべき様々なハンドクラフトが紹介されるページでした。1種類のクラフトではなくて、素材も手法も何でもアリ。いつも愉しみでなりませんでした。

 日本ではあまり見ないけれど、イギリスではそういう作家というか提案者がいて、人気でした。当時活躍していて覚えているのは、かつてあのポール・マッカートニーのガールフレンドだった、女優のジェーン・アッシャーです。女優業の傍らケーキ作家でもあり、クラフト作家でもある。クリスマスが近づけば様々なクリスマスグッズのバリエーションを提案、つくり方をTVで披露します。ちょっとした工夫にセンスがあって、心豊かになるハンドクラフト。自由でいいなあ!と思いました。

 そういうことを自分もやりたい、と強く思ったわけではないけれど、気付いたらHACのクラスでは、そういう課題を毎月毎月、もう18年も重ねているのでした。

 私のアートクラスの生徒さんたちはご友人から「何を習っているの?」と訊かれたとき、「何と答えてよいかわからないんです」。笑いながらそう仰います。ワカル、ワカル。ソウデショウ、ソウデショウ。

 というわけで、何が飛び出すかわからない、玉手箱のような 'HOMEWORK'展。ぜひ遊びにいらしてください。詳しくは 'exhibit'のページに更新しました。会場でお会いできますのを、愉しみにしています♪


<追記>

 ※在廊日と時間は変更の可能性があります。日程が近づきましたら、再度ご確認をお願いします。

 ※ショップだけでしたら、入場料は不要なのですが、せっかくなので歴史ある館内を見学できる日にお越しいただくのがおススメです。ウェブサイトをチェックするか、明日館にお電話で問い合わせを。10月19日(日)の月に一度の特別な公開デー以外にも、見学可能な日はあるそうです。

 ※10月23日(水)の午後、明日館小教室にて絵日記制作のワークショップを開催します。詳細は追って lesson ページにお知らせいたしますので、少々お待ちください。



13 Feb 2021

 



ご無沙汰しました。


 またまた長らく間が空いてしまいました。この間、年が明けただけでなく、いろいろ慌ただしかった。グループ展のチャリティ通販、残務、毎日の介護、それから最も大きい出来事は、仕事部屋を新しくしたこと。片付けと、工事と、模様替えに忙殺されていました。

 いまだに片付けが残っているけれど、ようやくペースを取り戻しつつあるので、かねてからやりたかった、たとえば英国の方々とのオンラインレッスンや、インスタグラムに生徒さんのため特化したアカウントを新たに設ける事などを、徐々に実行に移しているところです。

 アカウントの方は、準備が整ったら、すぐにメンバーにお伝えします。デモンストレーションが何度も見れるので、きっと役立つはず。

 チャリティのご報告を、インスタグラムにはしたのに、こちらにはせず、大変失礼しました! コロナ禍にあって、みんなで作ったささやかな作品が、おおきな寄付金となったのは、ひとえにご賛同下さった皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。





 今日もニュースで、ワクチンが打てるのは一部の裕福な国の人々のみという、WHOとユニセフからの注意喚起に接した。

 メンバーの有志から、継続しませんか?の声もある。続けるにはシステムを作らないと、と思う。HIC と HAC には有能な仲間がいっぱいいますから、相談しながらよい形を模索したいです。

 レッスンは、現在オンラインのみ。グラグラ揺さぶられ通しで、lessonページも更新ままならず。失礼しています。

 オンラインの水彩HICはおひとりおひとりに合わせた個人レッスンです。生徒さんと一緒に、対話を重ね、様々な挑戦をするのが愉しい。

 同じくミクストメディアHACは、月ごとに同じテーマを制作しています。グループ受講の方もいるし、個人レッスンの方もいる。お好きなやり方で、リラックスして創作するのが一番!という思いから。

 実はこの15日から自宅ワークルームにて、少人数の実レッスンもスタートします。感染者の状況を見ながらの実施。換気と消毒、パーテーションも用意しました。これも新しい日常へのチャレンジです。





 人類が久しぶりに体験しているこの非常事態から、自分はいったい何を学んでいるだろう。

 コロナ禍が始まって間もなく、ベルリンに住む親類から、パリ在住の辻仁成さんのブログがいいよと教えてもらって、時々読んでいる。辻さんとは同世代。もちろん面識はないが、「おぎゃあ」と生まれて育つ過程で見てきた文化は共通している。共感、多い。

 その辻さんが昨日、自分が生きている間にコロナは終わらないだろうと書かれていた。私も漠然とそう思う。辻さんは田舎とパリとの二重生活をスタートするらしい。この駿河の国の田舎町に住んでいることが、今の自分に与えているものって何だろう。単に自然がいっぱいあるから、というだけではない何か・・・。私も考えてみようと思う。

ひさびさに、つらつら書きました。





8 Dec 2020

 


すべての人の心に花を

 今年は誰にとっても特異な年となりました。瞬きの瞬間みたいにあっという間のようで、眠れない夜のように長かったとも思える。時間の感覚とは妙なものだと、あらためて思う。

 二つの展覧会の間にオンラインレッスンを立ち上げ、その間ずっと家族の介護もあったから、記憶が飛ぶような日々でした。生徒さんにもあらゆるポカで迷惑をかけた。コロナが始まったころ毎朝山を歩いていたのに、それも次第にできなくなって、すっかり運動不足です。

 しばらく展覧会はない。自分の仕事を耕す季節が、久しぶりに始まる。仕事部屋を父が使っていた部屋に移動することにした。父はありがたいことに健在だが、もう階段は使ってほしくないもので、怒涛の一年、物置と化していたその部屋を、思い切って改造することにした。

 床材や壁のクロス、ドアの素材を悩みながら決め、メジャーとメモを片手にIKEAのサイトにどっぷりはまる。先日からは一番苦労に思っていた片付け作業を渋々始めた。がしかし、身体を使う仕事は気持ちいい。この労働の後には、狭いながらも自分の気に入った空間ができ上がり、ここで少人数のレッスンができたらと考えているんです。そのためと思えば、頑張れる。

 イギリス人のアーティストは、仕事場のことをアトリエとは言わずスタジオと呼ぶ。ロンドンに暮らしていた頃は、たびたびあるスタジオに出掛けた。そこにはとてもお世話になった日本人のMさんと、その後家族ぐるみで大事にしてもらった画家のミリアムがいた。

 彼らのスタジオは古い倉庫の一室だった。そこでの思い出は沢山あるが、今やエリザベス女王のオフィシャルな肖像画を描くほどに「超」の付く活躍を遂げているミリアムと、よく食事やパーティに呼んでくれた彼女のお父さんで画家のホセ、お母さんのアルマからは、本当にかけがえのない多くを学んだ。彼らについては拙著『イギリス暮らしの雑記帖』にも書かせてもらった。

 その後ミリアムは、今の住居兼スタジオに移り、帰国後の旅行の際は長く泊めてもらったりもした。そのスタジオが素晴らしかったので、住環境は違い過ぎるものの、若干参考にさせてもらおうと思っています。

 去年訪ねた、キャロライン・ズーブさんのワークルームもよかったなあ。こちらも若干参考にさせてもらおう。

 来年は、すべての人によい一年になりますように。

 その願いもあり、一旦は諦めかけたカレンダーづくりを、東京、沼津のメンバーに背中を押してもらって作りました。このサイトにも、あらたに shop というページを加えてみた。アナログで「名ばかりショップ」ですけれど、よかったらご覧ください。少しずつ、アイテムも増やしてゆきたいです。










28 Oct 2020

 



7回目のグループ展

 一昨日、私たちの東京クラスメンバーによるグループ展がスタートしました。15年目に入ったお教室の、7回目となる展覧会。

 余談ですが、この場合、展示会と私は言いません。展示会と言う言葉には、量産するものを販売するというニュアンスを感じますから。私たちのはどんなにささやかであっても、特別なオリジナルの作品をご覧頂く、だんぜん「展覧会」です。

 初日から、多くの方にお越しいただきました。このような時に、ありがたい思いでいっぱいです。久しぶりにお目にかかる方、初めての方、マスク&ディスタンスでも直接お話するのが愉しくて、人の写った写真を撮るのをうっかり。無人の写真ばかりですが、お客さまには、工夫いっぱいの作品を熱心にご覧頂いています。

 作品を単体で撮影した画像を、 hac & hic のページ(メニューバーにリンク)に公開しております。作者の言葉も添えていますから、会場でスマートフォン片手にご覧頂くのもよいかと思います。


ギャラリーに入ってすぐお出迎えは、初参加の安倍さんの水彩画。


こちらも初参加の白鳥さんによる、フードイラストレーション。

 
抽象、具象、インスタレーション、クラフト、写真、なにを作ってもいい。


昨年の英国アートツアーの収穫物も、見ごたえあります。


額装にもそれぞれのこだわりが。グッズの販売も好評です。


 会場、会期などの詳細は、メニューバーから exhibit のページをご覧ください。

 つづく

17 Oct 2020

 



HAC、HIC、HAP

 ホップ、ステップ、ジャンプ、みたいな。

 今月、26日から、いつもお世話になっている銀座のAC, ギャラリーで、東京クラスのグループ展を行ないます。この時期の開催については悩みました。しかし、ギャラリーの予約を取り消すわけにはいかない。無理をして延期したとしても、来年状況がどうなっているかもわかりません。

 会場の接客はギャラリーのスタッフの方にお任せし、当番を設けない。もちろんあの夢のようなオープニングパーティも諦める。しかしオンラインでの発表をすることで、足を運べない多くの方、海外の方にもご覧頂けるし、と決断しました。

 5月からLINEやZoomを使ったオンラインレッスンをスタートしましたが、先の見えない状況の中、HAC(Hiro's Art Class = ミクストメディアのレッスン)では、オリジナルのハンドメイドカードを制作する事に、まずは没頭しました。

 作るにあたって、そのカードをグループ展で販売してはどうか。そして売り上げを、以前協力させて頂いたご縁のある「ユニセフ」に寄付してはどうかと提案。ささやかではありますが、コロナ禍のなか、世界各地で困窮している子どもたちの役に立てばと言う願いです。メンバーも快諾してくれました。Hiro's Art Project = HAP のスタートです。

 「コロナで寂しくて残念なグループ展だったね」としてはいけない。年々オーガナイズ能力が低下気味の講師ですが、それだけは強く思っています。コロナに勝つとか負けるとかじゃなく、アートがこんなときにどんな風に自分を励まし、他を励ますのかを確認する、実験のような気持ちでもあります。

 自分の4月の個展は搬入日に、若い頃から大好きだったコメディアン、志村けんさんの訃報(どんなにか無念だったことでしょう・・・)。お客さまも、ごく限られた方のみがいらしてくださっただけで、会期も短縮して緊張の中終えました。残念でしたが、終えることにほっともした。自転車で来てくれた、友人で画家の武藤良子さんが帰り際「生き延びましょう!」と言ったのが忘れられない。銀座はゴーストタウンのようで、その言葉が切実に響く暗い時期でもあったから。

 自粛期間中、そのあとも、メンバーは集中して素晴らしい作品やカードを仕上げてくれました。そのほとんどは、素材を新たに買い求めるのではなく、自宅にあったものをリユースし新しい命を吹き込んで生まれた作品、また身辺に題材を得た作品です。講師として、この16名のレイディーたちのこと、本当に誇らしく思います。

 展覧会の詳細については、exhibit のページをご覧ください。河田のインスタグラム、そしてこのブログの中に、'hac & hic' と 'charity' というページを作り、そちらに出品作品と、カード作品の画像をアップしてゆきます。

 華麗なウェブギャラリーではないですが、きっと愉しんでいただけるよう、せっせと撮影しているところです。

 ご覧いただき、チャリティにもご賛同いただけましたら、とてもうれしいです。よろしくお願いします。



11 Jul 2020




オンライン・レッスン

 また長いこと書くことが出来ずにいました。

 この間、皆さまにも様々なことがあったでしょう。私もです。あったというか、現在進行形。各種試練が続きますけれど、基本、家にいるのが大好きなので、外出できない苦しみはほとんどなく暮らしています。

 前回の投稿では、まだオンラインレッスンを始めていませんでした。その後、ストレージの足りないタブレットを新調し、LINE と Zoom で、リモートレッスンをスタート。続けています。郵便の通信講座を希望される生徒さんも僅かにいらっしゃいますが、ほとんどはスマホやタブレット、PCでオンライン。予期した以上に成果が表れて、すっかり気を好くしています。

 まず、私の手元をクローズアップでご覧いただける事。教室ではどんなに近づいたとしても、一定の距離がある。オンラインではカメラをぐっと近づけてご覧いただけます。好評です。

 今日も、ある技法を丁寧にお教えしたら、ソク、仕上がりが変わった様子を生徒さんが伝えてくれました。デモンストレーションを見てレッスンを終えた直後、すぐに絵を描くといい感じに描ける。そんなお言葉も頂き、益々木に登ってしまいます。

 それから私の小さな仕事部屋にある、いろんな素材や資料を速攻ご覧頂けます。「玉手箱みたいにいろんなものが出てきますね」。教室では充分にお伝え出来ずにフラストレーションを感じていたことが、一気に解消です。

 一方、クラスメートに会いたい、おしゃべりしたい、お互いの作品から刺激を欲しい。メンバーの気持ちも切実にわかるし、もちろん私も皆さんに会いたい。この14年間通い続けた明日館のことを思えば、涙が出そうにもなる。

 誰にもこの先のことは分かりません。分かることは、自分は絵を描いたり物を作ることが昔から好きで、これからも好きだろうし、ずっと続けてゆくんだということです。

 もともと、今ここにあるものでやりくりすることに幸福を見出し、物欲があまりない。矢野顕子さんの歌にもそんな歌詞がありました。ここにあるものを材料に、ここにないものが欲しい。

 それからだいぶ前に読んだ、桐谷エリザベスさんのエッセイ。物を買うより、形のない何かを買うことが大切になってくるという考え方。たとえば、何かを学ぶことに形はない。目に見えるものではない。でも学んだことは、その人の一部になって生き続ける。

 何十年も前に知って歌っていた歌と、20年近く前に読んだエッセイです。両方ともずっと心に引っ掛かっていて、今、その通りだと、この地球の変動を思うにつけ、強く感じています。

 考えることは山積です。ひとつづつ実行し、わかるところから変えてゆかないと。そう思います。

 皆さまも、どうかお元気で!

2 May 2020




お元気ですか?

 皆さん、いかがお過ごしでしょう。心身ともにご無事でありますように。

 世界がこのようなことになってしまい、思うこと、考えることがいっぱい。しかし仕事と目の前のやるべきことで、幸いカワダは落ち込む暇もない毎日を送っています。

 個展の会期を短縮してから、もうひと月が経とうとしています。銀座までの長い距離を自転車でいらしてくれた方、仕事帰りに寄ってくださった方、自宅待機の時間に公共交通機関を使って緊張の中いらしてくれた方、Stay Home の状況下、遠くから応援をしてくださった方、本当にありがとうございました。

 ACギャラリーでは、引き続き写真展「HOMEWORK」の作品を、オンラインギャラリーでご覧いただけます。ネットショップでの通信販売も可能です。これから他の作品も、オンラインで発表させて頂く予定。お求め安くて愉しい気持ちになる作品をと、考え中です。

 世界はこれからどう変化してゆくのか。自分に何ができるのか。自分は何をしてゆきたいのか。自分の好む生き方って、なんだっけ。

 絵を描くこと、創作をすることは、とても個人的な作業。HICとHACの教室も通信講座に切り替えていますが、ほとんどの方がご参加くださり、この機会をよいものと受け止めてくださっている。家から出られない。親しい人に会えない。そんな生活の中で、創作が「毎日の支えになっている」「日課になった」など、うれしいメールやお便りに、心底やってよかったと思っています。

 おひとりおひとりの作品をじっくり拝見できて、今まで見えていなかったことが私も見えてくる。パーソナルなアドバイスをお送りし、それをまた生徒さんたちはご自分のラケットで受け止めて返してくださる。いつもより静かな、そして青々とした広い芝生で、シングルスのテニスをしているような感覚です。

 毎日のように、皆さんからの作品が届く。それがまたうれしい。わくわくしながら封を切ります。

 自粛生活の中、オンラインレッスンが盛んになって来たと、TVのニュース。PC画面でレッスンするそのような本格講座に比べたら、私の通信講座はぐっとアナログ。元が教室でのレッスンなので、小さな画面でのご指導は欲求不満になりそうだし、画面の大きいPCを自由に使える方ばかりではないという理由もあります。それでもスマホでのインターネットやSNS環境をお持ちの方がほとんどですから、そちらも補助的に使いたい。そんなことも考えています。

 と、ここまで書いて、私の大きな課題に気付く。考えていることと、手のスピードや行動のスピードを同期させること。がんばれ自分。




 今、うちの小さな庭にはスズランが満開です。紫蘭もきれい。ギボウシもバリバリ音を立てて(?)葉を茂らせています。

1 Apr 2020




会期短縮のお知らせ

 残念ながらコロナの影響で、会期を短縮せざるを得なくなりました。週末の銀座は外出自粛で、まるでゴーストタウン。これからしばらく、ACギャラリーは土日を休業することに決めたそうです。営業時間も11:00から17:00となるそうです。私も賛成です。

 ですので会期は、明日と明後日となります。

 明日、4月2日(木)は、12:00から16:00まで在廊いたします。帰りが早めなのは、新幹線が通勤ラッシュになる前にと思ってのことです。スミマセン。

 明後日、4月3日(金)はギャラリーは11:00から16:00まで。搬出搬入があるので、早めに終わります。ご注意ください。(私はおりません。)

 その代わり、お知らせしたWeb Gallery は会期後もしばらく公開していただけます。ゆっくりご覧ください。

 とりいそぎお知らせでした。


31 Mar 2020




Web Gallery

 今回の個展では、初めて写真表現でご覧頂いています。そのきっかけは、雑誌「私の花生活」(日本ヴォーグ社)の連載「コラージュの花箱」で掲載いただいた糊付けしない立体コラージュ、アッサンブラージュの写真。絵を描くようにコレクションを組み合わせ構成し、カメラマンの渡辺さんに、お互いが響き合う瞬間をとらえて頂く。とても愉しい仕事で、現在二年目を迎えています。これも、良き理解者、編集長の青木さんのお陰です。ショートエッセイも含め、100%自由に創作させて頂いています。



作品 「Beachcombing / ビーチコーミング」
400 x 305 x 20 mm(額外寸)
16,000円(額付き)

撮影:渡辺淑克


 AC, Gallery のサイトでは、Web Gallery がスタートしています。とてもいい感じに特設いただき、うれしい! このような時期ですので、お運びいただけない方がご覧になれるよう、特別に作ってくださったのです。こちらをクリックするか、exhibit のページに貼ったリンクからご覧ください。

 カートのボタンを押すと、WEB SHOP に飛びます。そちらで額装の様子をご覧いただけます。気に入って頂き、ご自宅に、またはギフトに、お考えいただけましたらとてもうれしいです。ギフトラッピングも承ります。

 インスタグラムやこのブログでも、作品の紹介を続けていきたいと考えています。よろしくお願いします。






30 Mar 2020





自分の身に起きることはすべて

 搬入完了。厳戒態勢とも言える東京へ行くのは正直気が重かったですが、ACギャラリーに到着すると、オーナー夫妻がマスク姿の笑顔で待っていてくれて、心底ほっとしました。

 夫妻とは美術大学が一緒で、たぶん構内ですれ違ったり、同じ講義を受けてたりしていたかもしれません。共通の友人もいる。だからでしょうか。ずっと会っていなくても、なんだか昨日も会ったような気持ちになる不思議なお二人。本当にお世話になっている。

 飾りつけのテンポもよく、またいろいろな話もでき、しばらく重い気持ちだったのが、救われました。




 全28点、ちょうどぴったり壁に収まった。

 写真作品とは言え、会場で直にご覧頂けたらどんなにいいだろうと思う。しかし今回は、手放しで来てくださいとはとても言えません。どんな会期になるかわかりませんが、いずれにせよ、思い出に残る個展となりそうです。(在廊日は、exhibit のページをご覧ください。)

 


 ここのところ、寝る前読書はボルヘスばかり。自分がかなりヤバイときに読む作家の筆頭がボルヘスです。読書と言っても、疲れきってほぼバタンキューなので、傍線を引いたところを読み直すくらいですが。


   作家あるいは人は誰でも、自分の身に起きることはすべて
   道具であると思わなければなりません。あらゆるものは
   すべて目的があって与えられているのです。この意識は
   芸術家の場合より(「より」に傍点)強くなければならない。
   彼に起きることの一切は、屈辱や恥ずかしさ、不運を含め、
   すべて粘土や自分の芸術の材料として与えられたのです。
   それを利用しなければなりません。

  『七つの夜』 / ホルヘ・ルイス・ボルヘス著 野谷文昭訳 より



 この部分を、今まで私は何べん読み返したことでしょう。

 ひと気のない灰色の銀座を目の当たりにし、コロナへの不安はいや増しますが、帰りがけ、デザイナーと陶芸家である赤瀬夫妻とも似た話をしてギャラリーを後にした。しばし清々しい思いで満たされました。 

 ACギャラリーでは、会期中、Web ギャラリーを開設します。URLが分かり次第、またこちらとインスタグラムでお知らせいたします。少々お待ちください。お運びいただけなくても、そちらで私の新しい試みをご覧頂けましたら幸せです。よろしくお願いします。
 

19 Mar 2020




個展のお知らせ

世界がこんな風になってしまうなんて、今まで思ったことはなかった。若い頃、SF小説が好きだったけれど、SFはSF。架空の世界だと・・・。

特に好きだったのは、カート・ヴォネガット・ジュニアと、フィリップ・K・ディックという、今思えば両極端な作家ふたり。このコロナウィルスの影響の中、思い出したのもこの二人の言葉だった。

ヴォネガットが、これを主人公に語らせたのは、たしか小説『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』でだったと思う。短い言葉です。誰でも暗記できる。それは、


「愛より親切を」


なんというシンプルなメッセージ。「愛」と言われると重くなっちゃう人もいる。方向を誤る人もいるかもしれない。でも「親切」なら誰にだってできる。コロナが自分も含め、人心をどこかでマヒさせるようなことがあったなら、この短いマントラを唱えるといいんじゃないか。「愛より親切を」。

映画「ブレードランナー」の原作者として知られるディックの方は、もうちょっとエッジが鋭い。インスタグラムにアップした画像をここにも上げさせてください。






このような難しい時期に、個展を開きます。初めての写真展です。

プロのカメラマンに撮って頂いた雑誌の仕事をはじめ、ここ数年の間に撮りためた、日常、好きなブロカント、花、イギリスで撮ってきた写真など、自分が壁に飾りたいと思える、一緒にいたいと思える写真を選びました。

写真は若い頃から大好きだった。アッジェ、アーバス、ブレッソン、アンセル・アダムス、星野道夫、テーマにこだわらずに、好きな写真家がいる。写真を撮ることは、私にとって絵を描くことと同じように、バランスを保つ手段であり表現なのだと、インスタグラムを始めて感じるようになった。

にしても、写真展とは我ながら大胆。でもやりたいことは、やりたいのです。こうなるには、きっと何か理由があるのでしょう。

詳しくは、exhibit のページをご覧ください。AC, Gallery オーナーの赤瀬さんから、Web Gallery のご提案も頂いた。お運びいただけない方にも、ぜひご覧頂きたいです。よろしくお願いします。





9 Mar 2020




バーバラさん

 沼津クラスのバーバラさんは、みんなの人気者です。なんと言ってもその笑顔が素晴らしい。沼津の教室がレギュラーになるまでは東京のクラスに、こちらから高速バスで通ってくださっていました。だから東京のレッスンにも仲良しがいて、その笑顔は以前からみんなに評判でした。そういう声が、講師の私の耳に入ってくる。そのたび、本当にそうだなあ。バーバラさんの笑顔は絶品だなあ。いつも思うのでした。

 あ、バーバラさんは日本人です。念のため。この名前は、お孫さんが生まれて、自ら名乗りだされた別名。でも今では立派な「雅号」。

 これは昨年のUKアートツアーに参加下さったときのことを、バーバラさんが一枚の大きなシートに絵と言葉でまとめられた作品の一部です。あっ、ベッキーさんと私がいる! インスタグラムに投稿したら、ベッキーさんも大喜び。それに刺繍作家のキャロライン・ズーブさんも「Love this, Hiro-san!」、この絵の舞台、「Great Dixter House & Garden のみんなも、きっと観たがると思うわ!」とコメントをくださいました。キャロラインさんはこちらのチーフガーデナーの方と懇意なのです。

 さっそく有難い感想をいただけた今回のグループ展、出品作品。新人も古参も、自由でのびのびとした、アイデア一杯の水彩画やコラージュたちを作ってくれました。

 新型コロナの影響を、気にしていない人はいないと思います。私たちも迷いました。でも、いろんな工夫と用心をして、12日(木)から17日(火)まで、時間を少し短縮しますが、予定通り開催することに決めました。

 時間その他、注意事項は exhibition のページをご覧ください。そしてどうぞ、どなたもご無理のありませんよう。

 メンバーを見渡しても、お孫さんのお世話に忙しい方、お仕事のこと、私のように高齢の親を持つ人、そしてやっぱりそれぞれこの件には少なからず不安があります。バーバラさんはそんな仲間に、「皆さん無理せずバーバラにお任せ下さい」と、そのお日さまのようにあたたかな笑顔が浮かぶメールを送ってくれ、毎日でも在廊する勢いで当番を買って出てくれました。なんという仲間。なんというバーバラさん!

 ほかにも頼もしい若手がいてくれたり、ギャラリーに近い方が重責を担って下さったり、長いこと生きて来ても、自分に自慢できることは何一つありませんが、私の生徒さんはすごい。沼津も東京も同じように、個性豊かで率直で、明るくて優しくて、素晴らしい女性の集合。私の誇りです。みんなで支え合い、きっと会期を無事に送りたいと思っています。

 そしてこの困難な時期に、ご覧くださった皆さまの心が、少しでも軽やかになったなら、メンバー皆の何よりの幸せです。

22 Feb 2020




沼津クラスのグループ展

 お知らせです。沼津クラスのグループ展を、3月12日(木)から17日(火)まで、三島市のGallery PLAZA にて開催いたします。↑はその案内状。

 今回は特にバラエティに富んでいます。メンバーそれぞれの個性、経験、思いがどんどん豊かになっていることの証拠。ご自身の心の赴くままに制作していただくのが、そもそものレッスンの目的です。Hiro's 'Art' Class (HAC) としているのも、それが理由です。

 水彩あり、ペン画あり、アプリケや刺繍あり、コラージュ、アッサンブラージュ、すっごいチャーミングな縫いぐるみも登場します。懐かしのツイッギーも!

 心の落ち着かない日々が続く、誰にとっても試練のときではありますが、この1週間は水の美しい、そして三嶋大社の桜もほころび始めるかも。通りに面した明るいギャラリーで、我らがメンバーの工夫と手業の賜物、愉快な作品と一緒にニッコリ過ごしたいです。どうぞお気軽に観にいらしてください。

 詳しくは、メニューバーから exhibit のページをご覧くださいませ。私の在廊日などは、3月5日過ぎに決まりますので、またお知らせします。

 先日、地元のFM局「ボイスキュー」の番組、「パレット・アート・プラザ」にメンバーの山口さんと出演してまいりました。このグループ展のPRです。放送は3月10日の火曜日、17:40から17:55です。インターネットでも聴けるそうです。

7 May 2019



庭師の暦

 私はこの絵が好きです。完璧な出来ではないのですが。そして、自画自賛は褒められませんが。英国航空のファーストクラス機内誌に描いたものです。

 いつもお世話になっている、自由学園明日館。その向かって左手奥に、JMショップがあります。店内の一角に、ギャラリースペースがある。そこで小さな展覧会をさせて頂きます。

 期間は5月21日から6月2日まで。10:30から16:30、月曜日がお休み。

 Country Living で長く描かせてもらった、ガーデニングに関するイラストレーションから選んだ12種類のプリント画、そしていつの個展でも評判のいい、このBritish Airways の絵。それに最近描いている、古い西洋の手紙を使った花の小品、それから私のセレクトしたイギリスのブロカントやハバダッシェリー(小間物)も並べます。ギフト展、と言っていい企画。ぜひ観にいらしてください。

 在廊日は今のところ、初日の21日終日、それに、29日、30日は水彩レッスンがありますから、そのあと、13:30から16:30、在廊するつもりです。会場でお目にかかれますよう!



 昨日は、来年の企画も決まりました。2020年4月に、銀座ACギャラリーで個展をします。新しい作品を発表したい。気持ちも新たに、白い紙に向かいます。


22 Apr 2019



あと3日。

 さんしんギャラリー 善での個展も、残すところあと3日となりました。Instagramには投稿していましたが、あれこれ忙しくしていて、こちらになかなか書けない間に、あっという間に終盤となってしまいました。

 毎日多くのお客さまにおいで頂き、お時間を作っていらして頂いたこと、心からお礼申し上げます。

 



 この規模の個展を、またいつ開けるのか開けないのか。少なくとも今回のように、初期の作品から現在に至るまでをたっぷり一堂に(全118点)、美術館のような美しく広い会場でご覧頂く機会は、そうあることではない。

 体調を押してまで来るべきものではないにしても、少しでもご興味のある方にはぜひともご覧頂きたいという、いつにも増しての思いが起こった展覧会でもありました。

 あと3日。でもまだ3日あります。4月24日(水)までです。よろしければ、ぜひご覧ください。23日には、在廊します。リピーターも歓迎です♪




 追伸:プリント作品のすべてと一部の原画は、販売可能です。会期後のお渡しとなりますが、もし気になる作品がありましたら、スタッフ、または河田まで、お気軽にお知らせくださいませ。


1 Apr 2019




本日初日

 おはようございます。この日を無事迎えることができ、よかった。緊張でか、うれしさからか、いつになく夜中に何度も目が覚めました。

 この3日間、搬入作業をしながら、「さんしんギャラリー善」を運営する佐野美術館のキュレーター、Fさん、Tさんに多くを学びました。美しさの上にも美しさを追求するその姿勢は、作家のそれと全く同じ。ほんの僅かな傾きも見逃さず、丹念に修正を重ね、仕上がった時には! 英語で言う 'I'm thrilled!' 。ゾクッと来ました。

 33年間の私の仕事、そのすべてではないにしても、額装画だけでも90点ほど展示いたしました。ぜひ多くの方にご覧頂きたいです。

 遠くからお見えの方に、春の遠足コースをちょっとご紹介。

 三島近辺のお薦めスポットとしましては、まず頼朝ゆかりの神社、三嶋大社。カワダはその昔7歳だった頃、ここのお祭りの頼朝行列で、中村太郎左衛門というチビ武士をやりました。と言う余談はどーでもいいですが、お花見スポットとしても人気の神社です。

 それからクレマチスの丘、という、丘の中腹の文化エリア、美術館や文学館、広大なクレマチスガーデンのある、おしゃれエリアです。三島駅北口から、無料シャトルバスが出ています。()休み。

 それから、スイーツ好きな方には、三島駅から単線の私鉄、伊豆箱根鉄道(通称・いずっぱこ)ですぐ、伊豆仁田駅徒歩1分に irodori という古民家カフェがあります。ケーキ類が、甘党ではない私でも唸ってしまう美味しさです。オーナーのセンスがよく、雰囲気も素敵。落ち着きます。()()休み。




 ギャラリー周辺ですと、三島名物、鰻は「桜家」が人気。予約するか並ぶ覚悟で。(水)休み。

 追記:ギャラリーからすぐの和食、高田屋さんも評判よし。定食も鰻もいただけます。(水)休み。

 私がよく行くのは、讃岐うどんの「まるかつ」さん。とても美味しいし、リーズナブル。雰囲気も素敵です。ギャラリーから徒歩数分。()()休み。12時ちょっと前に行くのがおススメ。混みますから。

 古書店ギャラリー、weekend books さんへは、三島駅からバスです。私の会期中ですと、最後の方、4月21日から30日(金曜休み)に、「春のクチュリエ―ル百貨店」と称し、お洋服の展示会を開催されるそうです。これ以外の期間は古書店のみ。でもそういう静かな時に伺って書棚を味わうのも、私は大好き。企画展開催期間以外は(木)(金)休み。 

 少し足を延ばすと、先ほどの伊豆箱根鉄道の伊豆長岡駅には、世界文化遺産の韮山反射炉。近くには noir さんというギャラリーもあります。4月6日から14日まで、'yagi asako glasswork exhibition'。ガラス作家の方の個展を開催です。(木)休み。

 お役に立てばうれしいです。

 私の在廊日は、exhibit のページに記していますので、ご参考ください。他の日にも短時間、在廊するかも。会場でお目にかかれましたら幸せです。




2 Mar 2019



ひとつ ひとつ

 展覧会にこんな素敵なリーフレットを作って頂き、本当に有難く思います。「さんしんギャラリー 善」は、三島市の佐野美術館が企画運営し、三島信用金庫本店のレトロモダンな建物のトップフロアに、まるで美術館の一室のように広々とした空間を構えるギャラリーです。

 お話を頂いた時、広い広いギャラリーが、私の小さな作品で埋まる景色を想像できず、少し迷いました。でもぎっしり並べなくてもよいかもしれない。いや、その方がよい。だんだんそんな風に思えてきて、また初期のものや、原画と印刷物の両方をご覧頂くよい機会かもしれないし、いっそレトロスペクティブな展覧会にしたら、と妄想がふくらんで、気付いたら「よし」という気持ちになっていました。

 フルタイムのイラストレーターになってから、33年がたちました。数えきれないほどの絵を描いてきた。どの一点にも思い出がある。その間、自分なりに画風の変化の時を、いく度か超えてきました。

 

 
 そんなことを思いながら、パンフレットのインタビューを迎える前日、「ひとつ ひとつ」というタイトルが浮かんだ。

 これは星野道夫さんの著書『風のような物語』に登場する、ケニス・ヌコンというアサバスカン・インディアンの友人について星野さんが語る想い出から、私が得た、あるキーワードでもあります。

 ケニスは村を離れ、原野の一軒家にたったひとり、昔ながらに暮らす片腕の男です。星野さんたちは、「ケニス、まだ生きてるだろうか」と気にかける。それほど、年齢を重ねている。

 ある時訪ねると、ケニスは4頭のカリブーを仕留めていたそうです。その4頭をどうやって片腕でスモークハウスまで運ぶのか、星野さんは尋ねました。そのときニコニコしながら答えたケニスの言葉は、

  「シチャ(友達よ、というような意味)、
   少しずつ引きずっていくんだ。
   そうするといつの間にか土手の上まで
   動いているんだよ」

 時間というもの、時の尺度というものは、本当は自分だけのものだ。そう教えられました。そしてそれ以上にある種の余韻を感じ、未来への学びを与えてくれる言葉だと直感しました。

 またケニスのこんな様子にも、星野さんは打たれています。


   寝る前に、ケニスはきちんと着替えて床に入る。
   不自由な片腕で脱いだ服を
   きれいにたたんでいるケニスを見ていると
   原野の生活の中で律している、
   ケニスの持つ暮らしの精神のようなものを感じた。


 このケニスという男の話を、私は物事がうまくいかないとき、なかなかいい絵が描けないとき、焦る気持ちに負けそうなとき、思い出してきました。ケニス・ヌコンという会ったこともないアラスカの原野の老人と、その話を私たちに丁寧に伝えてくれた星野道夫さんを思い出しながら、心に唱えるのが「ひとつ ひとつ」というおまじないなのです。

 知らないうちに描きためてきた絵を、どんな風に展示しよう。4月1日の初日を迎えるためには、まだまだやることがいっぱい。ひとつ、ひとつ、と、この手で作業してゆきます。

 3月3日、明日からは、地元沼津の誇る古書店で、素敵な企画展をなさる weekend books さんの「花の降る街」というグループ展に、小さな作品を出品させて頂きます。

 個展、グループ展、ともに、exhibition のページに詳細をUPしました。ご覧の上、ぜひ観にいらしてください。
 





15 Dec 2018



類は友を呼ぶ

 年の瀬は、人との縁を思う季節。慌ただしい中に、様々なゆかりの方々のお顔が浮かぶ。

 先日のこと。打ち合わせに表参道、スパイラルで待ち合わせをする。早めに着いたら、何か面白そうな展覧会。ピンクの変わったドレスを纏った女性が、静かなダンスパフォーマンスをして、人だかりがしている。私も引き寄せられるように足を踏み入れたところ、

「ヒロさん!」

 見ると友人のSatomiさんではないですか。なんという偶然! なんというピンポイント! しかも、先日、英国の知人でジュエリー作家、齋藤佳世さんの日本初個展をインスタグラムで紹介したところ、たまたま近くに用事のあったSatomiさん。初日に訪ねて、ピアスを求めてくださった。その小さな葉が二枚寄り添う、シルバーの素敵なピアスも耳に輝いていた。「今度見せてね」と言ったものの、それはいつかの先のことと思っていたから、よほどの強い引き寄せパワーが働いたに違いない。

 Satomiさん、佳世さん、彼女の義理の妹に当たるイギリスの親友ミリアム・エスコフェット、それからその日のミーティングの相手、ベッキーさん、それからそれから、打ち合わせはCall で、だったので、Callスタッフの西原さん。強い will power を持っている人ばかり。起こるべくして起こったことのようでもある。いや、でもでもやっぱりすごいシンクロニシティ。

 Satomiさんにベッキーさん、西原さんをご紹介すると、愛らしい笑顔の目が、一層三日月のようになって喜んでくださった。Satomiさんの笑顔は本当に素敵で、こんな方をお嫁さんにもらったご主人、お母さんに持った息子さんは、とても幸運だといつも思う。彼女とのご縁も不思議なもので、もう10年以上前、星野道夫さんの映画「ガイア・シンフォニー」を観に行ったときに、ロビーでなんとはなしに話したのが始まりでした。

 大人になってから、そんな風に、なんとなく親しくなった方々が、他に何人もいる。友情には力やストレスがかかってはダメで、お互いに自分の空気、日常を纏いながら距離を保ち、たとえ滅多に会えなくても、そこはかとなく大切に想い想われるというのが嬉しく有難いと、歳を重ねるごとに思う。

 私が長年主宰するコラージュと水彩のお教室も、そのような仲間の集まりでありたいし、実際そうであることが自慢です。

 「類は友を呼ぶ」という言葉の意味を、作家のリチャード・バックは著作、『イリュージョン』の中で、こう述べている。


    やりたいことだけをだな、やり続けていくと、
    類は友を呼ぶの法則に従って、
    俺たちから何かを学ぼうと思う人達を引きつける。
    そして俺たちもまた、その人達から
    何かを学ばなくてはいけない。





 12月は忙しい月で、そんな類友クラスも参加者が少なめ。だからこそいつにも増して、面白いレッスンにしたくなる。

 水彩クラスは東京はお休みで、沼津だけになります。年賀状のための絵にしようか、初春に咲く花?などと色々考えてみましたが、どれもピンとこない。そこで思いついたのが、手彩色。題材に、1543年のフランスの書物の扉絵を選びました。クリスマスに飾って頂けるよう、額装にも工夫します。

 中世の宗教画や本の扉絵、挿絵は、銅版画や木版画に、手彩色で仕上げられていた。イラストレーションの起源です。当時の絵師や修道士の気持ちになって、と言ったら大げさだけれど、筆先の使い方や色の濃度の調整など、よい練習になると思います。lessonページに、持ち物を更新しました。

 丁寧に作業すると心落ち着く。師走はやることてんこ盛り・・・ではあるのですが、その気持ちを忘れたくない。最近自分は、ますます急ぐことが苦手になってきた。ゆっくり仕事をなすと、仕事が悦びに変わるから。悦びから生まれる仕事は、心からの仕事。これからも、人に心が伝わる仕事ができたらと願います。
 



P.S. ちょっと早めの還暦祝い、いただきました。ホワイトキルト。還暦とは、一周巡っての新たなスタート。白い色が気持ちに沿います。Yさん、素晴らしい作品を、本当にありがとうございました。