13 Feb 2021

 



ご無沙汰しました。


 またまた長らく間が空いてしまいました。この間、年が明けただけでなく、いろいろ慌ただしかった。グループ展のチャリティ通販、残務、毎日の介護、それから最も大きい出来事は、仕事部屋を新しくしたこと。片付けと、工事と、模様替えに忙殺されていました。

 いまだに片付けが残っているけれど、ようやくペースを取り戻しつつあるので、かねてからやりたかった、たとえば英国の方々とのオンラインレッスンや、インスタグラムに生徒さんのため特化したアカウントを新たに設ける事などを、徐々に実行に移しているところです。

 アカウントの方は、準備が整ったら、すぐにメンバーにお伝えします。デモンストレーションが何度も見れるので、きっと役立つはず。

 チャリティのご報告を、インスタグラムにはしたのに、こちらにはせず、大変失礼しました! コロナ禍にあって、みんなで作ったささやかな作品が、おおきな寄付金となったのは、ひとえにご賛同下さった皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。





 今日もニュースで、ワクチンが打てるのは一部の裕福な国の人々のみという、WHOとユニセフからの注意喚起に接した。

 メンバーの有志から、継続しませんか?の声もある。続けるにはシステムを作らないと、と思う。HIC と HAC には有能な仲間がいっぱいいますから、相談しながらよい形を模索したいです。

 レッスンは、現在オンラインのみ。グラグラ揺さぶられ通しで、lessonページも更新ままならず。失礼しています。

 オンラインの水彩HICはおひとりおひとりに合わせた個人レッスンです。生徒さんと一緒に、対話を重ね、様々な挑戦をするのが愉しい。

 同じくミクストメディアHACは、月ごとに同じテーマを制作しています。グループ受講の方もいるし、個人レッスンの方もいる。お好きなやり方で、リラックスして創作するのが一番!という思いから。

 実はこの15日から自宅ワークルームにて、少人数の実レッスンもスタートします。感染者の状況を見ながらの実施。換気と消毒、パーテーションも用意しました。これも新しい日常へのチャレンジです。





 人類が久しぶりに体験しているこの非常事態から、自分はいったい何を学んでいるだろう。

 コロナ禍が始まって間もなく、ベルリンに住む親類から、パリ在住の辻仁成さんのブログがいいよと教えてもらって、時々読んでいる。辻さんとは同世代。もちろん面識はないが、「おぎゃあ」と生まれて育つ過程で見てきた文化は共通している。共感、多い。

 その辻さんが昨日、自分が生きている間にコロナは終わらないだろうと書かれていた。私も漠然とそう思う。辻さんは田舎とパリとの二重生活をスタートするらしい。この駿河の国の田舎町に住んでいることが、今の自分に与えているものって何だろう。単に自然がいっぱいあるから、というだけではない何か・・・。私も考えてみようと思う。

ひさびさに、つらつら書きました。





10 Dec 2020

 



小鳥たちのために

 小鳥を描きたいという生徒さんに言うアドバイスは、小鳥じゃなくて木の葉を描くような気持ちでまずは形を取りましょう。それから、お顔のこと。特に目の描き方。小鳥の目は本当に愛らしいから、ドギツクならないように。あるちょっとしたヒントをお伝えします。足の踏ん張りの描写も、加点の高い技。

 上の絵は、イギリスで幸運なときにだけ見かけるブルー・ティットという小鳥です。ご覧のように、青い帽子を被っている。ものすごくちっちゃい。ひゅっと目の前を横切るとき、流れ星を見たように幸せな気持ちになる。

 でもこの青い帽子をかっちり描くと、坊主頭の一休さんみたいになっちゃう。だからふわふわっと羽毛を感じさせるように、色鉛筆でやさしく描いてみた。羽の部分にも色鉛筆のタッチを加えています。

 一発でこんな風にうまくゆくことはまず無くて、何べんも失敗して、少しずつシンプルにしながら「私のブルーティット」「私の小鳥」が生まれる。シンプルにする過程で、この小鳥に私が抱く思いが、ギュッと濃縮されてゆく。

 実は今日は大変だった。二階の父の使っていた部屋を来週からの大改造に向かって毎日掃除しているのですが、今年の春、雨戸の戸袋に、たぶん雀たちが巣を作っていた。ピーピーと賑やかだったから、そのことは分かっていた。父は何年もの間、2か所の雨戸を締めきりにしていた。今思えば、さあここに巣を作ってくださいと言わんばかりに。隙間から親鳥たちが入って、天敵からも嵐からも完全にシャットアウトされた、恰好の子育て部屋にしていたのだ。

 困った時にスーパーマンのように助けてくださるSさんにお願いして、掃除してもらうことになった。雨戸を一枚外し、戸袋の中をのぞいたSさんの後ろ姿がギョッとしていた。

 結果を言うと、45リットルのごみ袋にほぼ一杯の藁や小枝が、これでもかこれでもかと出てきたのです。奥の方は、土のように固まっていたという。たいへんな作業の末、窓は何年もの時を経て、全開された。夕日が美しかった。

 この戸袋から、何羽のヒナが巣立ったのだろう。来年からはゴメンネだけど、その分私は、せっせと小鳥の絵を描こうと思う。


8 Dec 2020

 


すべての人の心に花を

 今年は誰にとっても特異な年となりました。瞬きの瞬間みたいにあっという間のようで、眠れない夜のように長かったとも思える。時間の感覚とは妙なものだと、あらためて思う。

 二つの展覧会の間にオンラインレッスンを立ち上げ、その間ずっと家族の介護もあったから、記憶が飛ぶような日々でした。生徒さんにもあらゆるポカで迷惑をかけた。コロナが始まったころ毎朝山を歩いていたのに、それも次第にできなくなって、すっかり運動不足です。

 しばらく展覧会はない。自分の仕事を耕す季節が、久しぶりに始まる。仕事部屋を父が使っていた部屋に移動することにした。父はありがたいことに健在だが、もう階段は使ってほしくないもので、怒涛の一年、物置と化していたその部屋を、思い切って改造することにした。

 床材や壁のクロス、ドアの素材を悩みながら決め、メジャーとメモを片手にIKEAのサイトにどっぷりはまる。先日からは一番苦労に思っていた片付け作業を渋々始めた。がしかし、身体を使う仕事は気持ちいい。この労働の後には、狭いながらも自分の気に入った空間ができ上がり、ここで少人数のレッスンができたらと考えているんです。そのためと思えば、頑張れる。

 イギリス人のアーティストは、仕事場のことをアトリエとは言わずスタジオと呼ぶ。ロンドンに暮らしていた頃は、たびたびあるスタジオに出掛けた。そこにはとてもお世話になった日本人のMさんと、その後家族ぐるみで大事にしてもらった画家のミリアムがいた。

 彼らのスタジオは古い倉庫の一室だった。そこでの思い出は沢山あるが、今やエリザベス女王のオフィシャルな肖像画を描くほどに「超」の付く活躍を遂げているミリアムと、よく食事やパーティに呼んでくれた彼女のお父さんで画家のホセ、お母さんのアルマからは、本当にかけがえのない多くを学んだ。彼らについては拙著『イギリス暮らしの雑記帖』にも書かせてもらった。

 その後ミリアムは、今の住居兼スタジオに移り、帰国後の旅行の際は長く泊めてもらったりもした。そのスタジオが素晴らしかったので、住環境は違い過ぎるものの、若干参考にさせてもらおうと思っています。

 去年訪ねた、キャロライン・ズーブさんのワークルームもよかったなあ。こちらも若干参考にさせてもらおう。

 来年は、すべての人によい一年になりますように。

 その願いもあり、一旦は諦めかけたカレンダーづくりを、東京、沼津のメンバーに背中を押してもらって作りました。このサイトにも、あらたに shop というページを加えてみた。アナログで「名ばかりショップ」ですけれど、よかったらご覧ください。少しずつ、アイテムも増やしてゆきたいです。










3 Nov 2020

 



Charity Cards

 先日の土曜日、銀座ACギャラリーでの、東京クラス、グループ展を終えました。4月の私の、あの寒々しい個展が脳裏をよぎります。お運びいただけないことを覚悟で、なんとか意義のある会にしたいと、様々に思いを込めた展覧会。準備を進めて参りました。

 ところが初日から毎日、予期した以上のお客さまをお迎えすることが出来、メンバーとありがたい思いでいっぱいになっています。少なからず緊張を伴いながらの外出。どんなにお礼を言っても足りない気持ちです。本当に、本当に、ありがとうございました。

 ムーミンシリーズの作者として有名な、作家のトーベ・ヤンソンのある言葉から、私は特別な響きを、長い間与えられ続けています。

「作家が物語を書くときにいちばん大切なことは、ああそうだ、こういうことがあったなあとか、自分もあたらしい発見をするためになにかをはじめようとか、そういった欲求を読者に与えることができるかどうかということです」

 この言葉の中の「作家」を、広く「アーティスト」としても一向に差し支えないと思う。メンバーが様々に揺れ動く思いの中で作り上げた作品が、このコロナの時代に観る人の心に届いたこと。それだけで、明日も明るく生きてゆけます。

 今回、チャリティと言う新しい試みもいたしました。カード作品の収益をすべて、ユニセフの「新型コロナウィルス緊急募金」に寄付したいとメンバーに提案した時、だれもが快くこの考えに応じてくれました。

 会場では期間中、数多くご賛同いただきました。心よりありがとうございます。お運びいただけなかった方から、お問い合わせも頂いています。明日、11月4日の午前10時から15日まで、このサイトの charity ページにて、通信販売の注文をお受けいたします。ずいぶんアナログな通販で、発送に若干手間取るかも知れませんが、もし気になるカードがありましたらメールにてご連絡いただけますよう。




 私がフルタイムのイラストレーターになれたのは、カードやステイショナリーのイラストレーションの需要があったからでした。イギリス時代には、リバティのカード売り場で私のカードが売られていた。こういうのも、三つ子の魂と言うのかしら。カードの可能性について、年月を経て、また思いを巡らせているところです。




 ACギャラリー、オーナーの赤瀬圭子さん、スタッフの江藤さんには、今回もたいへんお世話になりました。また日本ヴォーグ社の「私の花生活」編集長、青木久美子さん、エディターの高澤さんによる誌面でのご紹介も励みになりました。今回の展覧会リポートを、12月初めの冬号に掲載していただきます。多くの方に支えられて、この困難の中、7回を数えるグループ展を開催できたことに、ただただ感謝です。

 よく励まれたメンバーの皆さん、ありがとうございました!


28 Oct 2020

 



7回目のグループ展

 一昨日、私たちの東京クラスメンバーによるグループ展がスタートしました。15年目に入ったお教室の、7回目となる展覧会。

 余談ですが、この場合、展示会と私は言いません。展示会と言う言葉には、量産するものを販売するというニュアンスを感じますから。私たちのはどんなにささやかであっても、特別なオリジナルの作品をご覧頂く、だんぜん「展覧会」です。

 初日から、多くの方にお越しいただきました。このような時に、ありがたい思いでいっぱいです。久しぶりにお目にかかる方、初めての方、マスク&ディスタンスでも直接お話するのが愉しくて、人の写った写真を撮るのをうっかり。無人の写真ばかりですが、お客さまには、工夫いっぱいの作品を熱心にご覧頂いています。

 作品を単体で撮影した画像を、 hac & hic のページ(メニューバーにリンク)に公開しております。作者の言葉も添えていますから、会場でスマートフォン片手にご覧頂くのもよいかと思います。


ギャラリーに入ってすぐお出迎えは、初参加の安倍さんの水彩画。


こちらも初参加の白鳥さんによる、フードイラストレーション。

 
抽象、具象、インスタレーション、クラフト、写真、なにを作ってもいい。


昨年の英国アートツアーの収穫物も、見ごたえあります。


額装にもそれぞれのこだわりが。グッズの販売も好評です。


 会場、会期などの詳細は、メニューバーから exhibit のページをご覧ください。

 つづく

17 Oct 2020

 



HAC、HIC、HAP

 ホップ、ステップ、ジャンプ、みたいな。

 今月、26日から、いつもお世話になっている銀座のAC, ギャラリーで、東京クラスのグループ展を行ないます。この時期の開催については悩みました。しかし、ギャラリーの予約を取り消すわけにはいかない。無理をして延期したとしても、来年状況がどうなっているかもわかりません。

 会場の接客はギャラリーのスタッフの方にお任せし、当番を設けない。もちろんあの夢のようなオープニングパーティも諦める。しかしオンラインでの発表をすることで、足を運べない多くの方、海外の方にもご覧頂けるし、と決断しました。

 5月からLINEやZoomを使ったオンラインレッスンをスタートしましたが、先の見えない状況の中、HAC(Hiro's Art Class = ミクストメディアのレッスン)では、オリジナルのハンドメイドカードを制作する事に、まずは没頭しました。

 作るにあたって、そのカードをグループ展で販売してはどうか。そして売り上げを、以前協力させて頂いたご縁のある「ユニセフ」に寄付してはどうかと提案。ささやかではありますが、コロナ禍のなか、世界各地で困窮している子どもたちの役に立てばと言う願いです。メンバーも快諾してくれました。Hiro's Art Project = HAP のスタートです。

 「コロナで寂しくて残念なグループ展だったね」としてはいけない。年々オーガナイズ能力が低下気味の講師ですが、それだけは強く思っています。コロナに勝つとか負けるとかじゃなく、アートがこんなときにどんな風に自分を励まし、他を励ますのかを確認する、実験のような気持ちでもあります。

 自分の4月の個展は搬入日に、若い頃から大好きだったコメディアン、志村けんさんの訃報(どんなにか無念だったことでしょう・・・)。お客さまも、ごく限られた方のみがいらしてくださっただけで、会期も短縮して緊張の中終えました。残念でしたが、終えることにほっともした。自転車で来てくれた、友人で画家の武藤良子さんが帰り際「生き延びましょう!」と言ったのが忘れられない。銀座はゴーストタウンのようで、その言葉が切実に響く暗い時期でもあったから。

 自粛期間中、そのあとも、メンバーは集中して素晴らしい作品やカードを仕上げてくれました。そのほとんどは、素材を新たに買い求めるのではなく、自宅にあったものをリユースし新しい命を吹き込んで生まれた作品、また身辺に題材を得た作品です。講師として、この16名のレイディーたちのこと、本当に誇らしく思います。

 展覧会の詳細については、exhibit のページをご覧ください。河田のインスタグラム、そしてこのブログの中に、'hac & hic' と 'charity' というページを作り、そちらに出品作品と、カード作品の画像をアップしてゆきます。

 華麗なウェブギャラリーではないですが、きっと愉しんでいただけるよう、せっせと撮影しているところです。

 ご覧いただき、チャリティにもご賛同いただけましたら、とてもうれしいです。よろしくお願いします。



25 Aug 2020

 



目に見えるものと見えないもの

 年を取ると早起きになるとよく聞いていたけれど、確かにそうで、でも自動的に早起きになるというより私の場合、早起きをしたくてたまらない感じ。

 最近は4時半に目覚ましをセットしている。起きてすぐに東の空を見る。カリッと宵の明星が輝いている。ここ数日はその時間、外気がぐっと温度を下げた。

 お湯を沸かし、簡単な朝ごはんの支度をしながら、30分後にもう一度見ると、もう金星は消えている。太陽が昇ったからだ。小鳥たちも目を覚ます。

 私たちの星は、毎日毎日これを繰り返している。

 朝のまだ暗いうちの景色は、今までしてきた旅の朝と重なって、目覚めたばかりの五感を刺激する。旅に出ると、とくに移動の日は、早起きをしなくてはならない。見知らぬ街の朝ほど、ワクワクする景色はない。その期待と不安の思い出すべてが重なる。

 静かなホテルのフロント、空港までのタクシー、バス乗り場や駅までの道のり、人がまばらで、空間ばかりが目立つターミナル、刻々変わる空の色、その街その街の澄んだ空気の匂い。これから向かう場所への期待よりも、その一刻が尊く思われる。

 この写真は、去年の5月、HACとHICのメンバー有志と出掛けた南イングランド、ライの街の朝。海のある街。カモメの声がBGMの静かな朝でした。

 


 夜が明けて、世界が色にあふれるまで、しばらくボーっと窓の外を見ていた。



 太陽の圧倒的光でかき消されている、でもそこに確かに存在する満天の星たち。今日はその星のことを意識して、一日を過ごしてみよう。