10 Nov 2021




だいどこ便り

 朝起きて台所に行って、まずお湯を沸かすことは話しました。お茶とコーヒーを淹れるために。それからたいていは、パンを食べる。バターと蜂蜜、クリームチーズとラズベリージャム、ここ最近はよくBLTサンドイッチを作る。イギリスはさすがサンドイッチが美味しい国で、BLTは思い出の味です。

 今朝は昨日買っておいたコロッケでコロッケパンにした。ウスターソースをたっぷり。レタスと一緒にイングリッシュマフィンに挟んだら、メチャクチャ美味しかった。

 先週はご馳走パンもありました。伊豆の和のリゾート、東府やさんにあるベーカリーのパンです。今まで食べたパンの中で最高に美味しかったと言っても、ぜんぜん過言ではありません。感動的。近かったらなぁ。これはいじましく、最後のふた切れの記念写真です。




 介護や介助でタフな日が続く。今日も忙しかった。お昼に何を食べよう。あてずっぽうで、こんなものを作りました。




 このひと月ほど、納豆を毎日欠かさず1パックは食べていて、そのパワーに驚いているところ。だって、ほんとうに体調が良くなったから。

 江戸の調味料、「煎り酒」と卵黄で、納豆カルボナーラ風をやってみました。茹でてオリーブオイル少量を和えたパスタに、卵黄に煎り酒適量を混ぜたソースを絡めます。納豆とめかぶを納豆のたれでぐるぐるネバネバ混ぜ合わせてトッピング。さらに好物しば漬けを盛る。色合いもなかなか。アレンジしながらまた作ろう。



 
 実は昨日はタフな上にもタフな一日だった。夜になってダメ押しの一発があったからへとへとになった。夕飯も食べずに解決策をさぐり、24時間対応の訪問看護さんに電話してアドバイスを受け、遅くに世界はなんとか平穏に戻った。ふー。

 さて何を食べましょう。時計の針は11時。お腹は超ペコペコ。食べずに寝るという選択肢はありません。

 若い頃、夜、吉野家で牛丼を食べたときのことをふっと思い出して、そうだ、あの牛丼にしよう!と思った。超簡単なのにとっても美味しい・・・と来ればレミさんレシピとバレますね。

 最近M下さん仕込みの、セロリと赤ピーマンのきんぴらにハマっていてよく作るのですが(またご紹介しますね)、セロリの茎だけを使うから葉っぱたちが野菜庫に備蓄されてゆく。昨日スーパーで、鹿児島和牛薄切りの特売パックに運よく遭遇した。このコンビを食べやすく切り、サラダオイルでザっと炒めて、お醤油をたらーりとかける。たったそれだけ。ハイ、お客さん、一丁上がり!



 レミさんは天才だと改めて思う。たしかプレーンに「セロリ丼」と命名されていましたっけ。あったかいご飯にのっけて、激ウマです。だまされたと思って、ぜひやってみてください。七味をかけてもいいですね。

 就寝前の食事って、ほんとはいけないんですよね。でもあったかいご飯のおかげで身も心も満足。疲れも吹き飛び、ぐっすり眠ることができました。めでたし、めでたし。

7 Nov 2021

 



星に願いを Part 1

 クリスマスが前倒しで来ちゃって、この先寂しい~12月が待っているんじゃないかと不安になるほど(?)、贈り物を頂く機会が続きました。

 頂き物自慢はいかにも無粋、そして品がないとは思うのですが、人に見せずにはいられない。そんな頂き物もあります。

 


 これは今まで3冊、一年に一度イギリスで発行されている雑誌なんですが、内容がとにかく素晴らしい。長年お世話になった Country Living 誌の別冊。Vintage に特化したインテリアや小物の美しい写真、芸術的ヒントなどが、こぼれんばかりにいっぱい詰まっている。

 残念なことに、私の知る限り、日本では手に入らない。一昨年の号は友人のベッキーさんから、今年の号はキャリーから、そしてキャリーに頼んだものの売り切れて買えなかったわ~、ゴメンナサイと連絡のあった去年の号を、先日心優しいヘレンさんからもらって、3号がそろいました。ありがとう、親愛なる UK Ladies よ!

 instagramでも、ヴィンテージやブロカントの美しいアカウントを多くフォローし、眼と心の保養をしているけれど、最近はインスタ疲れも少々あるし、やはりずっしり手に取って好きな時にページをめくることが出来る書籍は、私にとって特別なものです。資料はそう沢山いらない。でもいくつかの宝石のような本や画集は、心のバランスを取るためにも手もとにいつもあるべき。そう思います。オンラインやワークルームのレッスンで、時々生徒さんたちにもご覧頂いているところです。

 色彩のセンスを磨くために、かつて若いイラストレーターだった私は、この様なセンスのよい雑誌や書籍の写真からピーンと気に入ったものを選び、この写真の中で使われている色彩だけで絵を描いてみよう。そんな試みを繰り返したものでした。当時はファンタジーの世界が私のテーマだった。題材はまったく別物でも、色彩のセンスを盗んでやろうと思いました。今でもよい勉強だったと思います。

 次の一品は、まさしくファンタジー。




 長年親しくして頂いている人生の先輩、M下さんが、先日初めてワークルームにおいでくださった。途中、親しい友人であるお花屋さんの giverny さんと weekend books さんにもご案内した。weekend さんの店内で、「これをお見せしたいわ」と、大きなバッグの中から登場し、無造作に、野菜か何かみたいに新聞紙にくるまれていたのがこのお皿でした。高松さんも美和子さんも、もちろん私だってびっくり!

 「絵を描く女性が描かれているなんて、珍しいでしょ?」。珍しいも何も、なんて魅力的なお皿だろう!! 美和子さんと眼がハートになってしまった。しかもサラッと、私にくださると仰る。高松夫妻が慌てて紙袋を用意してくださった。新聞紙じゃ滑り落ちて壊れるかもしれない。袋に入れなきゃだめだよと。突然みんなで国宝を扱うような気持ちになって、涼しいお顔のM下さんとのコントラストに笑った。

 フランスのアンティーク。もしV&Aの硝子棚に鎮座しているのを見つけたら、行くたびに詣でるだろう。夢のように有難い絵柄。




 「こんな人になりたいな」と言う私に、いつもエミリー・ディキンソンみたいに白いドレスの美和子さんが「じゃあまずこのドレスを着なくちゃ」。何十年ぶりかにキャンバスに絵を描くことを試みようとしている自分。なんというタイミング。なんという贈りものだろう。M下さんには、すべてオミトオシなのだ。

つづく



 11月のHACでは 'A Merry Little Christmas' と題して、小さなゴールドのオーナメントで作品を作ります。何をやるにもますますじっくりのろまなので、きのうやっと材料をまとめパッキングして、みんなに発送しました。キラキラ輝く金色を、数や量を確かめながら小分けにして袋に詰める作業は、いつにも増して愉しいものでした。明日か明後日には届くかな? メンバーの皆さん、待っててくださいね。

2 Nov 2021

 


植物あれこれ

 この間クレマチスの丘で鉢植えの秋明菊を手に入れました。これがとても良い株で、次々花を咲かせてくれる。まだ蕾がいっぱい控えている。最近は風もなく、穏やかな晴天が多い。平和な朝に白い花を確認するのが、私の地味な日課です。

 今調べたら、この花には別名が一抱えある。秋牡丹、しめ菊、紫衣菊、加賀菊、越前菊、貴船菊、唐菊、高麗菊、秋芍薬。中国からの帰化植物だそうで、アネモネの仲間なのだとか。確かに洋の器に生けると、ちょっとアネモネらしく見える。




 これは黄瀬川のお花屋さん giverny で見つけた珍しい葉の蘭、マコデス・ペトラ。これにも別名がある。その名も華やか、「ジュエル・オーキッド」。

 なぜかというと、葉っぱがキラキラ光っているのです。




 わかるかな? わからないかな? 飛行機から見た不思議な紡錘形の街。通りに灯る民家の灯り・・・みたいな。極小のシードビーズが点々と灯っている・・・みたいな。よかったら拡大して見てあげてください。育てるのが難しいかもですが、早くミズゴケを買ってきて、素焼きの鉢に植え替えよう。




 giverny さんに行くと、こういう新たな出合いがある。一緒に行ったM下さんは、「大好物」の羊歯を手に入れた。それがまた見たこともないような上品で美しい羊歯なのでした。




 これは朝散歩の道草。簡単に手折ることができたので持ち帰り、小さなマスタード瓶に生けてみた。

 名前を知るべきか、知らなくてもよいか? ずっと昔、女性登山家で医師の今井通子さんがどなたかとTVで対談していらして、そのどなたかは「知っているべき」と。一方今井さんは「知らなくてもよい」ときっぱり仰っていた。知らなくったってその美しさに変わりはない。そこにあるだけで感動する、と。わたしも聴きながら、そうだそうだと思った。当時は植物の名前に無頓着だったし、当時より少しは知識が増えた今も、今井さんの意見に賛成。

 それでもこの、朝散歩の美しい植物はちょっと気になった。先端に花が咲いている。小さな小さな簡素な白い花。それが実になってゆく過程。その実が黒く色づく過程。そのすべてが、この短いひと枝に収まっていることに感激した。まるで人の一生をたどるときのような、バージニア・リー・バートンの絵本『せいめいの歴史』のページを繰るときのような感激。




 こんな時に強い味方がいる。沼津クラスの通称アリババコンビ、アリーさんとバーバラさんに訊けば、必ずどちらかが答えてくれる。道端で静かに、こんなすごいものを見せてくれるこの偉大な植物の名は、イヌホオヅキ、というそうです。

 イヌとつく名をもつ植物は結構あるそうで、本家本元に比べて役に立たない、という意味があると、これは別の植物エキスパート、Mさんから以前教えてもらったこと。しかしはなはだ不名誉な冠。「しつれいしちゃうわよ」です。

 このイヌホオヅキは、ホオヅキと呼ぶには実がかなり小さいが、よおく観ると、ホオヅキ様の筋が透けて見えたりして、ゴメンナサイ。なるほどです。




 20年近く親しくして頂いている、ハーブ研究家の永田ヒロ子さんが本を出されました。『季(toki)の香り』(講談社)には、永田さんが今までずっと取り組まれてきたハーブの世界。ハーブにまつわるお話、旅、学び、日々の暮らしが明るくなるヒントがいっぱいです。

 以前プロデュース頂いた「ジャパンハーブソサエティー」のワークショップについても写真入りでご紹介いただいています。私の教室HACにも長くご参加いただき、創作された作品も登場。光栄です。

 ぼんやりただ眺めるだけで満足していた私が、植物の魅力を教えてくださる永田さんのような先輩、Mさん、アリババコンビ、貴重な友に恵まれたこと、おかげで世界が広がったこと、感謝しています。