2 Nov 2021

 


植物あれこれ

 この間クレマチスの丘で鉢植えの秋明菊を手に入れました。これがとても良い株で、次々花を咲かせてくれる。まだ蕾がいっぱい控えている。最近は風もなく、穏やかな晴天が多い。平和な朝に白い花を確認するのが、私の地味な日課です。

 今調べたら、この花には別名が一抱えある。秋牡丹、しめ菊、紫衣菊、加賀菊、越前菊、貴船菊、唐菊、高麗菊、秋芍薬。中国からの帰化植物だそうで、アネモネの仲間なのだとか。確かに洋の器に生けると、ちょっとアネモネらしく見える。




 これは黄瀬川のお花屋さん giverny で見つけた珍しい葉の蘭、マコデス・ペトラ。これにも別名がある。その名も華やか、「ジュエル・オーキッド」。

 なぜかというと、葉っぱがキラキラ光っているのです。




 わかるかな? わからないかな? 飛行機から見た不思議な紡錘形の街。通りに灯る民家の灯り・・・みたいな。極小のシードビーズが点々と灯っている・・・みたいな。よかったら拡大して見てあげてください。育てるのが難しいかもですが、早くミズゴケを買ってきて、素焼きの鉢に植え替えよう。




 giverny さんに行くと、こういう新たな出合いがある。一緒に行ったM下さんは、「大好物」の羊歯を手に入れた。それがまた見たこともないような上品で美しい羊歯なのでした。




 これは朝散歩の道草。簡単に手折ることができたので持ち帰り、小さなマスタード瓶に生けてみた。

 名前を知るべきか、知らなくてもよいか? ずっと昔、女性登山家で医師の今井通子さんがどなたかとTVで対談していらして、そのどなたかは「知っているべき」と。一方今井さんは「知らなくてもよい」ときっぱり仰っていた。知らなくったってその美しさに変わりはない。そこにあるだけで感動する、と。わたしも聴きながら、そうだそうだと思った。当時は植物の名前に無頓着だったし、当時より少しは知識が増えた今も、今井さんの意見に賛成。

 それでもこの、朝散歩の美しい植物はちょっと気になった。先端に花が咲いている。小さな小さな簡素な白い花。それが実になってゆく過程。その実が黒く色づく過程。そのすべてが、この短いひと枝に収まっていることに感激した。まるで人の一生をたどるときのような、バージニア・リー・バートンの絵本『せいめいの歴史』のページを繰るときのような感激。




 こんな時に強い味方がいる。沼津クラスの通称アリババコンビ、アリーさんとバーバラさんに訊けば、必ずどちらかが答えてくれる。道端で静かに、こんなすごいものを見せてくれるこの偉大な植物の名は、イヌホオヅキ、というそうです。

 イヌとつく名をもつ植物は結構あるそうで、本家本元に比べて役に立たない、という意味があると、これは別の植物エキスパート、Mさんから以前教えてもらったこと。しかしはなはだ不名誉な冠。「しつれいしちゃうわよ」です。

 このイヌホオヅキは、ホオヅキと呼ぶには実がかなり小さいが、よおく観ると、ホオヅキ様の筋が透けて見えたりして、ゴメンナサイ。なるほどです。




 20年近く親しくして頂いている、ハーブ研究家の永田ヒロ子さんが本を出されました。『季(toki)の香り』(講談社)には、永田さんが今までずっと取り組まれてきたハーブの世界。ハーブにまつわるお話、旅、学び、日々の暮らしが明るくなるヒントがいっぱいです。

 以前プロデュース頂いた「ジャパンハーブソサエティー」のワークショップについても写真入りでご紹介いただいています。私の教室HACにも長くご参加いただき、創作された作品も登場。光栄です。

 ぼんやりただ眺めるだけで満足していた私が、植物の魅力を教えてくださる永田さんのような先輩、Mさん、アリババコンビ、貴重な友に恵まれたこと、おかげで世界が広がったこと、感謝しています。