19 Oct 2021

 



そんな秋

 外は冷たい雨が降っている。昨夜はとうとう電気ストーブを点けました。このまま季節をスキップして、冬になってしまうのか。最近は春も短いし。四季のある国に生まれたから、それぞれの季節の風情に気持ちが助けられますが、特に寒と暖の境目の春と秋は、色彩がカラフルで想像力を刺激される。その季節が短いのは寂しいこと。景色が一層胸に迫る。

 今日は雨でチャンスを逃したが、近所の散歩コースは、今、柿の実が鮮やか。朱く熟れたものとまだ黄色いものとが混じる。緑の葉は光を受け一枚一枚違って輝き、見上げれば青い空とどちらが背景かわからないくらいに混じり合って映る。向こうに広がる宇宙の無限。一瞬違えば、目に留まらず、立ち止まりもしなかったかもしれない。

 たとえば、歩きながら地面に美しい落ち葉を見つける。ま、いっか・・・と通り過ぎた後、いや、やはり家に持ち帰ろう、押し葉にしようと戻っても、さて絶対に見つからない。

 出合った時が吉日で吉時間。時間は止まらないし、戻らない。ビートルズは 'Life is very short' と歌ったが、私は 'You only live once'「人生は一度」という方が好き。坂東玉三郎さんは「生まれ変わったら?」の質問に「生まれ変わりたくない」ときっぱり答えた。そのくらいの心意気で、柿を見上げたい。そんな秋です。