14 Oct 2021

 


わたしの一日

 英国のロックバンド、The Who の名曲に '5:15' というのがあるけれど、これはまさにその時間の写真です。同じ薄暗さでも、夕方とは違う朝の雰囲気が伝わるでしょうか。

 ロンドン暮しのはじめ、1年間下宿させてもらった親しい友人の家では、玄関にキャンドルを灯すのが習慣だった。玄関を入ると廊下があってその壁際に、当時はアイアンのキャンドルスティックが取り付けてあった。地震国の出からすると、アンビリーバボーな景色です。

 夕食のテーブルにも、四季を通じてキャンドルが灯った。夏は庭で夕食をした。庭の木にキャンドルが提げられた。すべての家がそうするわけではない。友人はキャンドルの温かな灯を好んでいたのだ。

 すっかりその魅力を刷り込まれたので、私も向こうで一人暮らしを始めてから、キャンドルを切らすことはなかった。しかし帰国後はそうはゆかない。ちょっと寂しい思いがした。

 だから何年か前に、ニトリでこのLEDキャンドルを見つけた時は、うれしかったな。本当は細いテイパータイプが欲しいけれど、贅沢は言えませんよね。先日の地震も怖かったし。これは単三電池で使えるので、充電式の電池で、毎晩、毎朝、灯しています。もちろん本物とは違うけれど、better than nothing。ないよりはマシです。

 


 さて、朝起きて偽キャンドルを灯したら、台所で水出しの緑茶を温めて2杯飲む。そしてごく簡単な朝ごはんを食べます。

 しっかり作ってみたり、作らなかったり、お茶漬けだったり、パンだったり、おにぎりだったり、ある期間続けると飽きて別なパターンに変わってゆくのですが、とにかくとりあえず、なるべく早くお腹に何か入れることにしている。それが身体にいいとどこかで読んだので。

ふたつの薬缶にお湯を沸かし、一日分のコーヒーとルイボスティーを淹れます。コーヒーは豆乳カフェオレ。牛乳は飲まない。パンはスーパーで必ず手に入るパスコのマフィンかクロワッサンでいいんだけど、ジャムは冷凍のラズベリーで作った自家製に限る。パンに付けるのに、ラズベリージャムほどおいしいジャムは他にないと思う。

 年齢を重ねると、自分が好きなこと、必要なことが、よりはっきりしてくる。四の五の言って迷ってる時間も余裕もない。もう、これとこれとあれとあれがあれば私は幸せ、という気持ちになってくる。(その、あれとかこれが、結構欲深いという事情は置いといて。)

 とはいえ、断捨離とは無縁で、仕事部屋の棚はご覧の通り。細かいコレクションでいっぱい。この小さきものたち全部が、私を元気にしてくれるから、とても整理などできません。




 この部屋で、今日も愉快なオンラインレッスンを行なうことが出来ました。あっ、必要!と思うと、参考資料を出したり、オブジェをご覧に入れたりできるんで、愉しくてたまらない。これでPCの画面越しに、「はい!」と素材を渡せたら最高なんだけど。冗談を言ってみんなで笑う。

 さっき生徒さんのおひとりがLINEで、今日のキーワードをフィードバックしてくれた。


    今日はムード、リズム、説明しすぎない、
    古いものは完璧でないのが面白い、パンクな作風、
    がノートに書かれました。

    さらに「ムードが無形の記憶」だなんて、なんて詩的!


 ノートに走り書きしてくださっているのだ。こうして手ごたえとともに講座が行えた日は一日が充たされた思いがするし、脳も活性化される。ありがたくてありがたくて・・・、ありがたい。




 そしてまた日が暮れて、夜になる。今夜もぐっすり眠って、また明日も5時15分に一日が始まります。