15 Dec 2018



類は友を呼ぶ

 年の瀬は、人との縁を思う季節。慌ただしい中に、様々なゆかりの方々のお顔が浮かぶ。

 先日のこと。打ち合わせに表参道、スパイラルで待ち合わせをする。早めに着いたら、何か面白そうな展覧会。ピンクの変わったドレスを纏った女性が、静かなダンスパフォーマンスをして、人だかりがしている。私も引き寄せられるように足を踏み入れたところ、

「ヒロさん!」

 見ると友人のSatomiさんではないですか。なんという偶然! なんというピンポイント! しかも、先日、英国の知人でジュエリー作家、齋藤佳世さんの日本初個展をインスタグラムで紹介したところ、たまたま近くに用事のあったSatomiさん。初日に訪ねて、ピアスを求めてくださった。その小さな葉が二枚寄り添う、シルバーの素敵なピアスも耳に輝いていた。「今度見せてね」と言ったものの、それはいつかの先のことと思っていたから、よほどの強い引き寄せパワーが働いたに違いない。

 Satomiさん、佳世さん、彼女の義理の妹に当たるイギリスの親友ミリアム・エスコフェット、それからその日のミーティングの相手、ベッキーさん、それからそれから、打ち合わせはCall で、だったので、Callスタッフの西原さん。強い will power を持っている人ばかり。起こるべくして起こったことのようでもある。いや、でもでもやっぱりすごいシンクロニシティ。

 Satomiさんにベッキーさん、西原さんをご紹介すると、愛らしい笑顔の目が、一層三日月のようになって喜んでくださった。Satomiさんの笑顔は本当に素敵で、こんな方をお嫁さんにもらったご主人、お母さんに持った息子さんは、とても幸運だといつも思う。彼女とのご縁も不思議なもので、もう10年以上前、星野道夫さんの映画「ガイア・シンフォニー」を観に行ったときに、ロビーでなんとはなしに話したのが始まりでした。

 大人になってから、そんな風に、なんとなく親しくなった方々が、他に何人もいる。友情には力やストレスがかかってはダメで、お互いに自分の空気、日常を纏いながら距離を保ち、たとえ滅多に会えなくても、そこはかとなく大切に想い想われるというのが嬉しく有難いと、歳を重ねるごとに思う。

 私が長年主宰するコラージュと水彩のお教室も、そのような仲間の集まりでありたいし、実際そうであることが自慢です。

 「類は友を呼ぶ」という言葉の意味を、作家のリチャード・バックは著作、『イリュージョン』の中で、こう述べている。


    やりたいことだけをだな、やり続けていくと、
    類は友を呼ぶの法則に従って、
    俺たちから何かを学ぼうと思う人達を引きつける。
    そして俺たちもまた、その人達から
    何かを学ばなくてはいけない。





 12月は忙しい月で、そんな類友クラスも参加者が少なめ。だからこそいつにも増して、面白いレッスンにしたくなる。

 水彩クラスは東京はお休みで、沼津だけになります。年賀状のための絵にしようか、初春に咲く花?などと色々考えてみましたが、どれもピンとこない。そこで思いついたのが、手彩色。題材に、1543年のフランスの書物の扉絵を選びました。クリスマスに飾って頂けるよう、額装にも工夫します。

 中世の宗教画や本の扉絵、挿絵は、銅版画や木版画に、手彩色で仕上げられていた。イラストレーションの起源です。当時の絵師や修道士の気持ちになって、と言ったら大げさだけれど、筆先の使い方や色の濃度の調整など、よい練習になると思います。lessonページに、持ち物を更新しました。

 丁寧に作業すると心落ち着く。師走はやることてんこ盛り・・・ではあるのですが、その気持ちを忘れたくない。最近自分は、ますます急ぐことが苦手になってきた。ゆっくり仕事をなすと、仕事が悦びに変わるから。悦びから生まれる仕事は、心からの仕事。これからも、人に心が伝わる仕事ができたらと願います。
 



P.S. ちょっと早めの還暦祝い、いただきました。ホワイトキルト。還暦とは、一周巡っての新たなスタート。白い色が気持ちに沿います。Yさん、素晴らしい作品を、本当にありがとうございました。