すべての人の心に花を
今年は誰にとっても特異な年となりました。瞬きの瞬間みたいにあっという間のようで、眠れない夜のように長かったとも思える。時間の感覚とは妙なものだと、あらためて思う。
二つの展覧会の間にオンラインレッスンを立ち上げ、その間ずっと家族の介護もあったから、記憶が飛ぶような日々でした。生徒さんにもあらゆるポカで迷惑をかけた。コロナが始まったころ毎朝山を歩いていたのに、それも次第にできなくなって、すっかり運動不足です。
しばらく展覧会はない。自分の仕事を耕す季節が、久しぶりに始まる。仕事部屋を父が使っていた部屋に移動することにした。父はありがたいことに健在だが、もう階段は使ってほしくないもので、怒涛の一年、物置と化していたその部屋を、思い切って改造することにした。
床材や壁のクロス、ドアの素材を悩みながら決め、メジャーとメモを片手にIKEAのサイトにどっぷりはまる。先日からは一番苦労に思っていた片付け作業を渋々始めた。がしかし、身体を使う仕事は気持ちいい。この労働の後には、狭いながらも自分の気に入った空間ができ上がり、ここで少人数のレッスンができたらと考えているんです。そのためと思えば、頑張れる。
イギリス人のアーティストは、仕事場のことをアトリエとは言わずスタジオと呼ぶ。ロンドンに暮らしていた頃は、たびたびあるスタジオに出掛けた。そこにはとてもお世話になった日本人のMさんと、その後家族ぐるみで大事にしてもらった画家のミリアムがいた。
彼らのスタジオは古い倉庫の一室だった。そこでの思い出は沢山あるが、今やエリザベス女王のオフィシャルな肖像画を描くほどに「超」の付く活躍を遂げているミリアムと、よく食事やパーティに呼んでくれた彼女のお父さんで画家のホセ、お母さんのアルマからは、本当にかけがえのない多くを学んだ。彼らについては拙著『イギリス暮らしの雑記帖』にも書かせてもらった。
その後ミリアムは、今の住居兼スタジオに移り、帰国後の旅行の際は長く泊めてもらったりもした。そのスタジオが素晴らしかったので、住環境は違い過ぎるものの、若干参考にさせてもらおうと思っています。
去年訪ねた、キャロライン・ズーブさんのワークルームもよかったなあ。こちらも若干参考にさせてもらおう。
来年は、すべての人によい一年になりますように。
その願いもあり、一旦は諦めかけたカレンダーづくりを、東京、沼津のメンバーに背中を押してもらって作りました。このサイトにも、あらたに shop というページを加えてみた。アナログで「名ばかりショップ」ですけれど、よかったらご覧ください。少しずつ、アイテムも増やしてゆきたいです。