3 Nov 2020

 



Charity Cards

 先日の土曜日、銀座ACギャラリーでの、東京クラス、グループ展を終えました。4月の私の、あの寒々しい個展が脳裏をよぎります。お運びいただけないことを覚悟で、なんとか意義のある会にしたいと、様々に思いを込めた展覧会。準備を進めて参りました。

 ところが初日から毎日、予期した以上のお客さまをお迎えすることが出来、メンバーとありがたい思いでいっぱいになっています。少なからず緊張を伴いながらの外出。どんなにお礼を言っても足りない気持ちです。本当に、本当に、ありがとうございました。

 ムーミンシリーズの作者として有名な、作家のトーベ・ヤンソンのある言葉から、私は特別な響きを、長い間与えられ続けています。

「作家が物語を書くときにいちばん大切なことは、ああそうだ、こういうことがあったなあとか、自分もあたらしい発見をするためになにかをはじめようとか、そういった欲求を読者に与えることができるかどうかということです」

 この言葉の中の「作家」を、広く「アーティスト」としても一向に差し支えないと思う。メンバーが様々に揺れ動く思いの中で作り上げた作品が、このコロナの時代に観る人の心に届いたこと。それだけで、明日も明るく生きてゆけます。

 今回、チャリティと言う新しい試みもいたしました。カード作品の収益をすべて、ユニセフの「新型コロナウィルス緊急募金」に寄付したいとメンバーに提案した時、だれもが快くこの考えに応じてくれました。

 会場では期間中、数多くご賛同いただきました。心よりありがとうございます。お運びいただけなかった方から、お問い合わせも頂いています。明日、11月4日の午前10時から15日まで、このサイトの charity ページにて、通信販売の注文をお受けいたします。ずいぶんアナログな通販で、発送に若干手間取るかも知れませんが、もし気になるカードがありましたらメールにてご連絡いただけますよう。




 私がフルタイムのイラストレーターになれたのは、カードやステイショナリーのイラストレーションの需要があったからでした。イギリス時代には、リバティのカード売り場で私のカードが売られていた。こういうのも、三つ子の魂と言うのかしら。カードの可能性について、年月を経て、また思いを巡らせているところです。




 ACギャラリー、オーナーの赤瀬圭子さん、スタッフの江藤さんには、今回もたいへんお世話になりました。また日本ヴォーグ社の「私の花生活」編集長、青木久美子さん、エディターの高澤さんによる誌面でのご紹介も励みになりました。今回の展覧会リポートを、12月初めの冬号に掲載していただきます。多くの方に支えられて、この困難の中、7回を数えるグループ展を開催できたことに、ただただ感謝です。

 よく励まれたメンバーの皆さん、ありがとうございました!