30 Jul 2017





台所

 ついつい台所の写真ばかり撮ってしまいます。それより自分の仕事や制作に関することを、もっと撮ったらいいのに。そのつもりでインスタグラムを始めたのに、なかなかそうならない。

 質素な台所で、ありきたりの材料で、きまぐれに料理する。無器用で、一度に一つのものをマイペースでしか作れない。たぶん料理家にはなれません。

 実は3年前に軽く体調を崩しかけ、以来揚げ物などの脂っぽいもの、乳製品、卵などを、ゼッタイではないけれど、なるべく摂らないようになりました。ケーキや焼き菓子もモノによっては負担なので控える。お酒は関係ないとドクターに言われたものの、食べるものが簡素になるにつれ、自然と嗜好が縮小。加えてプチ介護もありますから、それまでに比べ、何が面白くて生きているのかと問われそうな食生活です。でもどんなときにも、日々の炊事にはそれなりの発見があるものです。

 お酒と言えばこの間、みうらじゅんさんが、「最近お酒が好きじゃないことが判明して」と朝日の記事で語られていて、お、いいコト言いますね、と思った。でも甘いものは飲みたい。だから燗酒でと仰っていて、なんだ結局好きなんじゃないかと思いましたが、実はそこも共感で、甘いリキュールを炭酸でうーーんと薄めたジュース的食前酒がマイブームです(たしか「マイブーム」もみうらさんの造語)。そんなこんなのお年頃、ってことなのでしょうね。今日も、ラブリーな瓶の「蜜柑酒」というのを初購入。

 脱線しました。とにかく身体のことを考えることは、台所仕事の地平を狭めない。深くする。今までため込んできた知恵(?)を結集。にわかにオリジナル度がアップしてゆく。

 たとえば、上の写真のハム。茅乃舎レシピで作り始めたものですが、とっても簡単なのに、買ったものとは違うマイルドな美味しさで気に入っています。以下、受け売り。

 鶏むね肉300gに、茅乃舎のだし一袋(袋を破って)とお砂糖大さじ1、お塩大さじ1、粉山椒適量を混ぜたものを、まんべんなくまぶしつけます。水が出るので深さのあるお皿に入れラップをして冷蔵庫に一晩。翌日さっと洗い、沸騰まであとちょっとの鍋のお湯に入れて、沸騰したら中火。1分半ほど茹でます。(私は倍の分量で作るので、もうちょっと茹でる。)蓋をして、冷めるまで放っておく。で、出来上がりです。なるべく冷めにくい、分厚いお鍋で作るのがいいみたいです。

 昨夜漬け込んだのは、山椒を使うところを花椒にしてみた。ハーブミックスも加えた。あとで茹で上げます。愉しみです。

 台所は愉しいのに、作るのは面倒。そんな日も正直結構あります。どうするか・・・。解決のおまじないは「ゆっくり、ゆっくり~」。作らなくちゃ、って気分で急ぐから、やる前からプレッシャーがかかりつまらなくなるのだと、これまた「判明」したのです。

 まずは腰を下ろす。誰も見ていなくても、「作ろう」という気配さえなしに腰掛けるのがコツ。冷蔵庫にあるもの、戸棚の中の乾物、缶詰、冷凍食品、レトルト、手持ちのものをそこはかとなく思い浮かべる。

「いそがない、いそがない。ひとやすみ、ひとやすみ。」

 賞味期限の来そうなもの、あれとこれなら相性いいかも、とか、案外すぐにイメージが固まってくる。たしか料理ファイルになにかあったな・・・とパラパラする。

 で、おもむろにエプロンを掛け、冷蔵庫を開け、とうとう何か素敵なお料理を作り出すのか・・・と思えば、土井善晴さん提唱の一汁一菜、具だくさんのお味噌汁だったりするので我ながらズッコケるのですが、その頃には小皿にお漬物や作り置きおかず類を並べるのさえ、ウキウキしているという寸法。

 思えば絵を描いたり作品を作る時も、こんな感じです。自分の力をあんまり信じていない。なんとはなしに自分を通して出来上がるものが見たい。そこにワクワクしたい。だから心して、無理な力が働かないように気を付けています。


 

22 Jul 2017




水彩クラスのお知らせ

 「このお洋服とこのお洋服は仲よし?」が、幼い私の口癖だったらしい。ブラウスとスカート、ソックス、靴、髪飾り、子どもなりに、しかも少ない衣類の中から着るものの組み合わせを考えることは、将来絵を描くことを仕事にする自分の、スタート地点だったかもしれないなぁと、今になって思います。

 この夏、私は白いシャツをよく着ている。あちこちから風が通るようなたっぷりしたもので、同じデザインが3枚。ボタンを付け替えたり、アクセサリーやスカーフで変化をつけ、組み合わせるボトムスとの相性を愉しんでいます。

白はどんな色とも仲がいい。すべての色の正確な個性をこちらに差し出してくれる。人の話を聴くのが上手な人みたいに、個性と個性のバランスを取り、響き合いのステージになってくれる。

 だから机の上は、なるべく白っぽくして、自分が今、なにを描いているか、なにを作っているかの「見晴らし」がきくようにしています。

 


 7月の水彩クラスでは、ベリーのリースを描いてみます。


 

 ご覧のように、英・Country Living のある年の July issue、7月号のために描いた作品をお手本に、グリーティングカードやラベルにも応用できる絵柄を練習したいと思います。

 前回のダリアで、面を塗る練習をしました。今回は線と点。細かい図柄ですが、お道具の筆は穂がそろっていてコシがありますから、コツさえつかめば大丈夫。ただし虫眼鏡、必携でお願いします!

面が描けて、線と点が打てるようになったら、これから様々なバリエーションへ向かっていくことができます。

 東京、明日館での水彩クラス、8月は2回、23日に加えて24日にも行ないます。23日(水)は満席ですが、24日(木)はまだ余裕があります。

 9月は27日(水)の1回のみですが、10月から有難いことに毎月2回ずつ行うことが可能に! 第4木曜日にもお教室が借りられることになったのです。

 スケジュールは lesson のページをご覧ください。基本、第4水曜日と第4木曜日ですが、まれに明日館のスケジュールの都合などで、前後の週になる場合があります。水彩はなるべく少人数で、集中して行いたい。ほっとしました。

 と同時に、沼津クラスでもご要望を頂き、9月から、今までと同じ日程(第3木曜日)の午前中を、水彩クラスとすることになりました。水彩のみ、コラージュのみでの受講も、お席のある限りは可能です。これについても lesson ページに更新いたしましたので、ご覧ください。

 今まで月に2回だったレッスン日が4回になるということで、私もとても愉しみです。張り切って企画を考えてまいりますね。新しい HAC と HIC、どうぞよろしくお願いします♪

30 Jun 2017



捨てるべきか、捨てぬべきか

 7月のコラージュクラスの準備中です。今年はファッションをテーマに制作をしています。今月は梅雨の鬱陶しさを少し爽やかにと思って、白をベースにした作品。「貝殻をドレスに見立てる」というのをやってみます。

 素材をあれこれ引っ張り出して、組み合わせながら考えていくのですが、以前買ってあったフレンチヴィンテージの布コードが使えそう。色がとにかくきれいだったので、いくつか求めたものです。

 このように、買ったことさえ忘れているような何かに、突然光が当たる瞬間は特別な気持ちになる。もっと言えば、いかにも役に立たないもの、誰も顧みないようなつまらない何かが、作品の中で生き生きと生まれ変わること。そのことこそが、私がコラージュやミクストメディア作品を愛する理由のひとつだと思うんです。

 そんなことを考えるとき思い出すのが、アップリケ作家の宮脇綾子さんの言葉です。


   どんな小さい端切れも
   捨てられないのでしまっておくと
   必ず役に立つ。


 京都の朝市で買った布、屑屋のおばあさんと仲良しになって譲ってもらった布、高山や近在のお百姓さんからいただいた布、タンスや行李いっぱいに、無地、更紗、レース、藍、縞などに区分した布をためておられたそうです。


   例えば畳の縁のびりびりになった端切れでも
   同じように大切な布なのだ。


 お姑さんからの「3年たえれば、用にたつぞよ」という教え。


   どんな端切れでも3年しまっておくと、
   いずれ何かの役に立つことを、
   名古屋弁でそういうのだ。


 断捨離や整理術の達人は、よくこの正反対のことを言います。使わなかったら、トキメカナカッタラ、潔く捨てましょう、と。使わないもの専用の棚があって、一年後、二年後、流れ作業のように手際よく、鮮やかに廃棄していく術をTVで見たこともある。

 もちろんそうすべきものがあるのは分かっていますが、少なくとも作品のための材料については、宮脇さんのお姑さんの言葉が、ストンと胸に落ちます。

 3年しまっておく。3年たつ間には、自分も周囲も変化をする。物の見方が変わってゆく。ということは、自分にとっての、その物の価値も変わるものなのだ。

 「3年たえれば、用にたつぞよ」。この言葉に、ひとの成長をゆったりと見守る、延いては自分の消えた後も、この世界を広げる見えない力を信じるような、あたたかな温もりを感じるのです。

 使い捨ての消費社会に生きている自分を否定はできないけれど、ものをいとおしく思う気持ちが、私たちに勇気や元気や自信を与えてくれている。そのことを、今まで以上に思うこの頃です。

19 Jun 2017



きっちり足に合った靴

 先月の末から私にしては家を出たり入ったりが多く、来客や工事や修理も少しあり、遅れ遅れの仕事になかなか手が付けられず・・・。

 しかし自己嫌悪に陥るヒマもなく、昨日はコラージュクラスが東京であって、今月のお題「ジュエリー」も皆さんに愉快に受け入れていただけたことに、ただただほっとしています。ご参加、ありがとうございました。

 今月は思うところあり、課題作品をここにもSNSにもUPしないことにした。ご覧頂けずにちょっと残念なんですが、本当に皆さんご自分を解放されて、素晴らしいフォトコラージュを作られました。ファッションに関わる事なら、私たちは肩に力を入れる必要がないのです。

 女性にとって身に着けるものの重要なことと言ったら。これはもしかして多くの男性に、本当には理解不能なことかも・・・と、人生こんなに経ってからフムフムだったのは、少し前から夢中の作家、ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』のなかの一節を読んで。

 散文様の架空の伝記、とでもいいましょうか。この奇想天外な小説の中で、主人公のオーランドーは、なんと男性から女性に換わっちゃう。時代も何百年とすっ飛んじゃう。読みながら違和感が全く起こらないほど、余りに自然にその変化が訪れるのがまた不思議なんですが、考えたら小説自体が、ストーリーの流れより事象の美しさを味わわざるを得ないような、それこそ宝石のモザイクみたいな構成なので、ページが進んでそういうことが起こる頃には、読者はその世界にいくらか親しんでしまっているのでしょうね。

 オーランドーが男性から女性に換わったときに自らひどく驚くのが、洋服についてだった。ただ好みのためだけに、一日に何度となく着替える自分に、ついこの間まで男性だったオーランドーは客観的にビックリするのです。

 1月に、三島のさんしんギャラリー「善」での展覧会でお目にかかった、染色家の小川良子さんもそう仰っていた。桜で染めた素敵なお着物姿の小川さんでしたから、会話が着るものについて及んだのだと思う。庭仕事などしていて、もし首に巻いたスカーフでもなんでも、「ちょっと違うな」と感じたら、すぐに取り換えずにはいられない、と仰っていた。

 私も同じく。毎朝、外出してもしなくても、(私なりに)真剣になって何を着るかを選び、一日をスタートします。衣類が、アクセサリーが、自分を見えない力で守ってくれている。そんなおまじないのような思いがあるのでしょうか。

 着心地のいい衣類、身につけて安堵するアクセサリー、必要なものが全部収まるバッグ、自分に自分らしさを与えてくれる眼鏡や帽子。そして・・・


    きっちり足に合った靴さえあれば、
    じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。
    そう心のどこかで思いつづけ、
    完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、
    私はこれまで生きてきたような気がする。


 これは、須賀敦子さんの『ユルスナールの靴』の冒頭。

 トップに掲げた写真で私が履いているのは、一番好きな靴です。もう30年も前に、旅行で行ったロンドン、スローンスクエアで求めたスペインの靴。靴紐を表す、'Shoelaces' という言葉さえまだ知らず、お店の女の子に教えてもらった思い出がある。バックスキンの薄い革がやわらかい。いつのまにか私のオカシナ足型に添うような形に変形している。幾度も修理し、手入れしながら、今も現役。足がとても華奢に見えるのは、先端がトゥシューズみたいな形だから。

 和服が長持ちするのはわかっていますが、靴だって洋服だって、決して引けを取らないことに、私くらいの年齢になると突然気付きます。スカートもブラウスも、大事に着れば、おばあさんになっても着れるような気がしてくるんです。そう思って着るものを選ぶようになったワリに、このところジーンズが大好きなので、このヒロおばあさんは、どうやらジーンズを一生履く気らしい。

 須賀さんの『ユルスナールの靴』。おしまいの靴の話も、静かに胸にしみ込みます。




2 Jun 2017



水彩クラス

 とりいそぎ、お知らせです。先日来、ご案内しておりました、明日館で新たに始める水彩クラスのお席が満席となりました。お申込み、ありがとうございました!

 第一回の課題は、このダリアの絵を考えています。

 水彩にご興味をお持ちくださる方が、思った以上にいらっしゃることに喜んでいます。水彩は小学生の頃最初に手にする本格的な画材です。その分、根強いコンプレックスが知らない間にしみ込んでしまって、興味はあってもなかなか再開できずに来た方もおられると思う。

 私の描き方は、ちょっと違いますからご安心ください。まったく新しい試みを始めるつもりでお教室にいらしていただけたらと思います。

 何回参加しなくちゃいけないという決まりはありませんが、なるべく継続してご参加いただきたいです。絵を描くことには、スポーツと同じようなところがあるからです。

 キャンセル待ちは常にお受けいたします。お気軽にお問い合わせいただけましたらうれしいです。 

27 May 2017



新しいレッスン

 先週の日曜日は、明日館のクラスがありました。お教室を始めて満11歳。おかげさまでこの夏、12年目に入ります。

 この日は桜に続くバラの花で、明日館の前庭はご覧の通り。毎年訪れるこの至福の季節に感謝しながら、胸いっぱいにピンクの空気を吸い込みました。私たちのレッスンはいつも日曜日だから、ほぼ毎回ウェディングの風景を目にしますが、その華やぎのシーンが一層胸にしみる季節でもあります。

 


 今まで月に一度のペースを守ってコツコツ進んできた HAC (Hiro's Art Class) ですが、実はこの6月から新しいクラスを始めることになりました。水彩だけを行なうレッスンです。

 今まで通り午前から午後の、その日のうちに完成するコラージュと水彩のミクストメディアレッスンを継続しながら、もうひとつ、午前の2時間、水彩だけに集中するレッスンを設けたのです。

 水彩をお教えしたい気持ちはずっとずっとあって、でもコラージュも愉しいし、企画を先延ばしにしてきたんですが、そんなことしていたらいつまでたっても実現できないことに気付き、明日館のスタッフのFさんに相談してみました。すると幸運にも第4水曜日の午前のお教室が「水彩なら水曜日でしょう」とばかりにずっと空いていた。これはもうやらなくちゃ! 運命の糸(?)を感じた途端、私の重い腰はアレレ、旅に出るビルボ・バギンズさながらに速攻で持ち上がるのでしたー!(説明くどくて、ゴメンナサイ。)

 その名も Hiro's Illustration Class。略して HIC。

 余談ですが、今までHACといえば、静岡・神奈川地区では某薬局チェーン店の名前として有名だったんですけど、なんと近年の合併で名称が変わり、もはや HAC ではなくなった様子。なんとなく肩身の狭さを感じながら HAC、HAC と使わせてもらっていたのが、これからは胸を張って「ハックです!」と言えそうです。

 ハックとヒック。「鏡の国のアリス」に登場する、双子のトゥイードル・ディーとトゥイードル・ダムみたい。なんだかいいカンジ・・・。

 ・・・と始まる前からそんなことで悦に入ってないで、生徒さんにお集まりいただく努力をしないといけません。
 



 レッスンの内容は、私が11年にわたってイギリスの雑誌「COUNTRY LIVING」に描いていた小さなイラストレーション。これをお手本に、水彩ってこんなことができるんですよ、というテクニックをお伝えしたいと思っています。

 私のイラストレーションは、対象を単純化することがまず大事な要素で、ひとつひとつの絵に複雑さはありません。刺繍デザイナーの青木和子さんとお話していて、「そこまで行くのがタイヘンなのよね」と仰っていただいたのが忘れられない。そこが青木さんのお仕事との共通点なのだとわかり、先輩からの温かい励ましがありがたかった。

 単純化しながら、対象の「らしさ」を表すこと。本物より一層本物らしくなるように・・・。

 「そこまで行った絵」のすべてには、試行錯誤の後にわかった「描き順」があります。水彩の難しさは、濃い色の上に淡い色を載せられないこと。思った絵に仕上げるには、描く手順がとても大事なんです。

 色の作り方、息遣いのようなものもお伝えしたいので、個人レッスンに近い試みもしたいと思っています。ですので定員は11名と少なくしました。そして水彩はこう見えてエネルギーを使います。人間、集中できる時間は短い。なので2時間。宿題を出させていただき、次回に講評もいたします。

 だらだらと書いてきた内容をまとめますと・・・

  レッスン名称: Hiro's Illustration Class (HIC)
  内容: 季節にちなんだ小さな水彩画の制作(宿題あり)
  日時: 毎月第4水曜日 10:30~12:30
  会場: 自由学園明日館 小教室マニャーナ
  受講費: 3回で13,500円(資料の精細プリント画を含む)
  定員: 11名
  ※画材をお持ちでない方は、講師おススメのものを事前にご注文いただきます。

 コラージュクラスと違い、可能な限り毎月のご参加をおすすめします。継続して練習することで、どんどん世界が広がってゆきますから。
 
 のちほど、Lesson のページにあらためて詳細をUPいたしますね。第一回は6月28日です。お手紙や葉書きの隅にちょっと小さな絵を描きたい・・・。そんなお気持ちをもし持たれたら、ぜひ! お気軽にお問い合わせください。




 こちらは、5月のレッスンでの生徒さんの作品より。バリエーション豊かに、様々なドレスが生まれました。外のバラにも助けられたでしょうか。愉しいレッスンでした。中央はおまけ。余った素材から作る、グリーティングカードのアイデアです。

 コラージュと水彩のミクストメディアレッスンも、引き続き愉しいアイデアを、絞っては披露、絞っては披露、してまいります。こちらもどうぞ、よろしくお願いします! (6月のHACはジュエリーがテーマです♪)

9 May 2017



私のホリデイ

 皆さま、5月の休日はいかがお過ごしだったでしょう。

 黄金週間とは言え、10人いたら3人ぐらいは仕事だったと思うし、私のような者はこの仕事を始めた頃からずっと、世の中の休日とは縁がない。

 とは言えご近所の気配もどこか違うし、なにより毎年好天に恵まれる確率の高い一週間です。朝の目覚めもいいし、一段と長くなってきた日が暮れるのが寂しいし、仕事が手につかず気もそぞろな毎日でした。

 と言うのも昨年、庭仕事の役目が次第に自分に移ってきたのをいいことに、思い切って小さな庭(桐原春子さんの言葉を借りると、猫の額より狭いまさに「猫の鼻」)に、芝生の種を蒔いた。ターフを敷くほど広々とした場所ではないので、種がいいと思った。それがうまく根付いた。庭への思いがぐっと高まっているこの頃なのです。

 寒さに強く、冬も青々の西洋芝。春の始まりとともに多少ハゲていた部分も埋まってきて、ヨシヨシです。自分的にはすごくいい感じ。あくまで自分的にで、世の中的素敵なガーデンとは程遠いのは自覚しています。でもどんなにささやかでも、庭づくりは愉しくてうれしい。

 芝刈りは、リョービのバリカンで30分もかからない。地面だったときに草取りをするよりずっと楽です。頑なな地面派だった家族も、初夏の日差しとグリーンが気に入った様子です。




 ところでこの写真を Instagram にUP するんで、「木漏れ日」の英訳を調べたら、無い、と言うことを知りました。一言で木漏れ日を表現する言葉がないのです。

 こんな風に、あらゆる言語には、他の言語で表現できない言葉と言うのが多数あると言います。一時話題になった「もったいない」もそうですね。そういう言葉ばかりを集めた絵本があるそうだから(これも Instagram で知りました)、こんど読んでみたいです。




 バラは3種類育てています。↑はロサ・ムタビリスという中国の原種。ひと重の簡素な花が、様々な色で目を愉しませてくれる。今年は白い花も咲いています。淡いサーモンピンクは2日目には深紅に変わる。見ていて本当に飽きません。




 数年前に、芝と同じく突然思い立って敷いたレンガも、味が出てきました。特に日が陰った日にはイギリスを思い出します。というか、そのために敷いたのです。小さなテーブルと椅子で夕方お茶をすすります。ターシャ・テューダーさんの影響です。ターシャさんは4時かっきりに庭を眺めながらポーチでお茶を召し上がったそうで、そのとき「ただ生きているだけで幸せ」と思うのだと、TVで仰っていた。なんて素敵な習慣でしょう。ただ生きているだけで幸せ、と思える幸せ・・・。
 




 今ほかに「猫の鼻」に咲いているのは、ワスレナグサとワイルドストロベリー、マリゴールド、テディベアという名のバラ、紫蘭とスズラン、それにまるふく農園さんのレモンローズゼラニウムです。テムズの川岸に打ち上げられたような、傷だらけの古いインク瓶が、どの小花にも似合います。




 猫の鼻ならぬ、小さくて細い猫のヒゲくらいのキッチンガーデンも、現在進行中。ゴールデンセージ、オレガノ、パセリ、大葉が今のところのメンバー。バジルも植えなくちゃ。↓の赤ちゃん苗は種から育てているコリアンダー。近い将来仲間入りします。




 懸案だった椿の木の剪定も、憎っくきチャドクガが襲来する前にと、がんばりました。葉がみっしり茂った中に鳩が巣を作っていたのに気付いたのは、かなり刈り込んでから。この間、屋根にカラスを見かけた理由はこれだったのかも。せっかく途中まで作った巣を台無しにして悪かったけれど、これで良かったのかもしれないとも思う。彼らが若いカップルで、次の巣をつくる余力が充分あることを祈りながら、私の今年の黄金週間は終わりました。