9 May 2017



私のホリデイ

 皆さま、5月の休日はいかがお過ごしだったでしょう。

 黄金週間とは言え、10人いたら3人ぐらいは仕事だったと思うし、私のような者はこの仕事を始めた頃からずっと、世の中の休日とは縁がない。

 とは言えご近所の気配もどこか違うし、なにより毎年好天に恵まれる確率の高い一週間です。朝の目覚めもいいし、一段と長くなってきた日が暮れるのが寂しいし、仕事が手につかず気もそぞろな毎日でした。

 と言うのも昨年、庭仕事の役目が次第に自分に移ってきたのをいいことに、思い切って小さな庭(桐原春子さんの言葉を借りると、猫の額より狭いまさに「猫の鼻」)に、芝生の種を蒔いた。ターフを敷くほど広々とした場所ではないので、種がいいと思った。それがうまく根付いた。庭への思いがぐっと高まっているこの頃なのです。

 寒さに強く、冬も青々の西洋芝。春の始まりとともに多少ハゲていた部分も埋まってきて、ヨシヨシです。自分的にはすごくいい感じ。あくまで自分的にで、世の中的素敵なガーデンとは程遠いのは自覚しています。でもどんなにささやかでも、庭づくりは愉しくてうれしい。

 芝刈りは、リョービのバリカンで30分もかからない。地面だったときに草取りをするよりずっと楽です。頑なな地面派だった家族も、初夏の日差しとグリーンが気に入った様子です。




 ところでこの写真を Instagram にUP するんで、「木漏れ日」の英訳を調べたら、無い、と言うことを知りました。一言で木漏れ日を表現する言葉がないのです。

 こんな風に、あらゆる言語には、他の言語で表現できない言葉と言うのが多数あると言います。一時話題になった「もったいない」もそうですね。そういう言葉ばかりを集めた絵本があるそうだから(これも Instagram で知りました)、こんど読んでみたいです。




 バラは3種類育てています。↑はロサ・ムタビリスという中国の原種。ひと重の簡素な花が、様々な色で目を愉しませてくれる。今年は白い花も咲いています。淡いサーモンピンクは2日目には深紅に変わる。見ていて本当に飽きません。




 数年前に、芝と同じく突然思い立って敷いたレンガも、味が出てきました。特に日が陰った日にはイギリスを思い出します。というか、そのために敷いたのです。小さなテーブルと椅子で夕方お茶をすすります。ターシャ・テューダーさんの影響です。ターシャさんは4時かっきりに庭を眺めながらポーチでお茶を召し上がったそうで、そのとき「ただ生きているだけで幸せ」と思うのだと、TVで仰っていた。なんて素敵な習慣でしょう。ただ生きているだけで幸せ、と思える幸せ・・・。
 




 今ほかに「猫の鼻」に咲いているのは、ワスレナグサとワイルドストロベリー、マリゴールド、テディベアという名のバラ、紫蘭とスズラン、それにまるふく農園さんのレモンローズゼラニウムです。テムズの川岸に打ち上げられたような、傷だらけの古いインク瓶が、どの小花にも似合います。




 猫の鼻ならぬ、小さくて細い猫のヒゲくらいのキッチンガーデンも、現在進行中。ゴールデンセージ、オレガノ、パセリ、大葉が今のところのメンバー。バジルも植えなくちゃ。↓の赤ちゃん苗は種から育てているコリアンダー。近い将来仲間入りします。




 懸案だった椿の木の剪定も、憎っくきチャドクガが襲来する前にと、がんばりました。葉がみっしり茂った中に鳩が巣を作っていたのに気付いたのは、かなり刈り込んでから。この間、屋根にカラスを見かけた理由はこれだったのかも。せっかく途中まで作った巣を台無しにして悪かったけれど、これで良かったのかもしれないとも思う。彼らが若いカップルで、次の巣をつくる余力が充分あることを祈りながら、私の今年の黄金週間は終わりました。