目に見えるものと見えないもの
年を取ると早起きになるとよく聞いていたけれど、確かにそうで、でも自動的に早起きになるというより私の場合、早起きをしたくてたまらない感じ。
最近は4時半に目覚ましをセットしている。起きてすぐに東の空を見る。カリッと宵の明星が輝いている。ここ数日はその時間、外気がぐっと温度を下げた。
お湯を沸かし、簡単な朝ごはんの支度をしながら、30分後にもう一度見ると、もう金星は消えている。太陽が昇ったからだ。小鳥たちも目を覚ます。
私たちの星は、毎日毎日これを繰り返している。
朝のまだ暗いうちの景色は、今までしてきた旅の朝と重なって、目覚めたばかりの五感を刺激する。旅に出ると、とくに移動の日は、早起きをしなくてはならない。見知らぬ街の朝ほど、ワクワクする景色はない。その期待と不安の思い出すべてが重なる。
静かなホテルのフロント、空港までのタクシー、バス乗り場や駅までの道のり、人がまばらで、空間ばかりが目立つターミナル、刻々変わる空の色、その街その街の澄んだ空気の匂い。これから向かう場所への期待よりも、その一刻が尊く思われる。
この写真は、去年の5月、HACとHICのメンバー有志と出掛けた南イングランド、ライの街の朝。海のある街。カモメの声がBGMの静かな朝でした。
夜が明けて、世界が色にあふれるまで、しばらくボーっと窓の外を見ていた。
太陽の圧倒的光でかき消されている、でもそこに確かに存在する満天の星たち。今日はその星のことを意識して、一日を過ごしてみよう。