10 Dec 2017



World 3

 このブログを、前の「日々のこと」からずっと読んでくれている親しい友人がいます。PCをされない奥さまに、コピーして渡してくださる方もいる。個展などでは、初めて会う方に「いつも読んでいます」と言って頂くことがあり、驚く。ありがたい。

 始めた頃(2004年だったかな)には、毎日のように書いていました。よくあんなに書くことがあったと思う。たいていは、仕事を終えて、夕方の家事を始める前のスキマ時間に書いていた。書くことで、元気になる。ブログって、自分のために書くものなんだな、と思いました。

 最近は、自分以外のことに多くの時間が費やされて、前回書いたように余裕がなく、ブログばかりか、手書きの日記や覚え書きさえも途絶えがち。でも何かを書きたい気持ちは、いつもある。

 私はとにかく言葉に励まされ、芸術に支えられて生きている人間なので、今まで力をもらってきた言葉や作品がたくさんあるのだから、再びここに書き写し、見つめなおすのはどうだろう。けっして時間の無駄じゃない、と思いました。こういう時だからこそ、とも。

 図書館から借りた本は傍線が引けないので、百読一写に如かず。若い頃はせっせとノートに書き写していたのです。いつ頃からかやめてしまったけれど、今夢中で(のろのろと)読んでいるヴァージニア・ウルフの本は多くが絶版。これも再開すべきことかもしれない。

 世界には、私たちの外にある物質世界 (World 1) と、私たちが目を閉じると意識される主観的世界 (World 2) がある。そのほかに図書館の世界ともいうべき、私たち人類が創造し、発見して積み重ねてきた「知」の世界がある。オーストリア出身のイギリスの哲学者、サー・カール・ポパー(Sir Karl Popper)がその世界を「World 3」と呼んでいたのに因んで「World 3 Note」と名付けた私の読書ノートたち。 

  
  現代の文明が明日にでも滅びて、
  それにもかかわらずすべての書物が無償のまま残ったとすれば
  後世の人たちがわずか数世代で世界を再建することも可能なのだ。


 若い頃に惹かれた言葉は、これからも私を成長させてくれるだろうか。少しずつ、確かめるように、ここに書いてゆけたらと思います。


・・・・・・・◆・・・・・・・

  
 少女の絵は、Victoria & Albert Museum 所蔵の 'A Girl Writing'  という作品。フランスの画家、Sophie Bouteiller Desaux 、別名 Henriette Browne (1829-1901) によるもの。何ものにも代えがたい程、好きな絵です。