朝の庭
ここのところ、急にワッと降ったりするので数日休んでいるけれど、早朝目覚ましも頼らず起き上がると、褪せたダンガリーとだぼだぼズボンの作業着、手袋オッケー、蚊取り線香オッケー、サングラスと帽子オッケー、の指差し確認。すでにムッとした外気にたじろぎながら、草取りや、忘れられたまま湿って朽ち果てそうになっている庭の隅っこなどを掃除しています。世界で一番狭い庭、と言ってもいいような地面でも、ひれ伏すように作業するうち、次第に「小地」が「大地」に感じられ、心が落ち着いてゆく。
草にもいろんな個性がある。引っ張ればすぐに抜ける者もあれば、根元でブツッと切れて、しつこく根っこを維持し続ける者もいる。根っこ維持派の代表はシダ。
ある日、ブツッでもいい。どうせすぐに出てくるんでしょ、と、汗を拭き拭き抜ききった。抜いた翌日にハッとした。この暑さの中、山紫陽花の根元がカラカラに干上がっているではないですか。シダが適度な日陰を作って、この花の木を守ってくれていたことを知った。シダも庭の仲間として、大事にしなければと思った。
シダは気づいてはいないだろうな、自分が山紫陽花を守っていることを。
細っこい庭の、これまた細っこい花壇は、父がまだ足腰丈夫な頃にありものの石や瓦で囲って作ったもの。今は私のささやかなキッチンガーデンです。
バジルは鉢植え。花壇は手前からオレガノ、チャイブ、イタリアンパセリ、サラダバーネット、スープセロリ・・・なのですが、そしてひさしの下なので雨にやられないし、外に出なくても手を伸ばせば摘める位置なので便利、のはずなのですが、日照りに負けてご覧の通り、バジルとオレガノ以外はちっとも大きくならない。前にターシャさんがドキュメンタリーの中でやっていたのを思い出して、布で日除けをした。そのせいか、この頃は少し元気になってきました。
山口県でいなくなった2歳の男の子を発見し保護した、尾畠春夫さんの奇跡のようなニュースに、力を貰っています。報道陣に囲まれ話をする尾畠さんの指に、トンボがすっと来てとまったシーンには、妖精物語を見るような感動すら覚えました。