中川一政さん
何事もせんと思ふことをずんと思切てするは本心也。
かうせうかせまじきかと二途をわたるは血気也。
沢庵和尚『東海夜話』より
こんな風に書くと、私がこの本を読んだかのようですが、実際は画家、中川一政さんの本『腹の虫』にあった言葉。あるときここを読んで、それこそ「ずん」と腑に落ちたものでした。心当たりがあったのだ。沢庵和尚が剣法を説く言葉だそうですが、中川さんの言うように、「画家がきいてもどきんとする言葉」。
一切のことを為すに当意即妙なり。
あらかじめ設けてする事あるべからず。
これも同じく。
「血気」や「勝気」を、自分は好まないのだ。その時に思った。それは物心ついたころからずっとそうだった。
この本には、ほかにもいくつか傍線を引いている。たとえば、
目が進めば手が進むのだ。
手が進むから目が進むのではない。
学校は技術を教える。
教えられることには限度がある。
大切なことは教えられない。
これは真実です。生徒さんにも折に触れ話してきた。美しいもの、感動する何かを観て、観て、観て、目を進ませましょうと。
写真は水彩レッスンのあった木曜日、目白駅近くの和菓子屋さん「志むら」で買ってきた花びら餅です。きれいだなあ。
美しいなあ。美味しそうだなあ。綺麗だなあ。この「なあ」を絵にするのだと言っていたのも、中川さんじゃなかったかなあ。