小鳥たち
これは昨日の夕方、一日の仕事を終え、散歩に出た時の風景です。Instagramに動画を投稿したので、ご覧くださった方もいらっしゃるかもですが、実に見事な swarming (群飛)に遭遇しました。
近くに小ぶりの竹藪があり、そこがこの小鳥たち(雀だと思う)の巣であることは知っていました。そこに砂鉄のように吸い込まれるのを観たことがあったから。でもこんなに凄い群飛は初めてでした。
ヒッチコックの映画を思わせるものでしたが、ちっとも怖くない。それどころか、小鳥たちの興奮がこちらにも伝わってきて、まるで一緒になって飛んでいるように胸が躍りました。美しい夕日、富士山も頭をのぞかせ、駿河湾も見える私の大好きな場所。こんな体験をさせてくれる、宇宙の意思に思いを馳せます。
日が落ち、台所に立ちながら、あの雀たちは今頃あの竹藪で、寒気に身を寄せ合いながら明日の夜明けを待っているのかと思うと、どこへ行かずとも、また世界がひとつ広がった気がします。
森羅万象を黒一色にぬりつぶす闇の夜でも、
線に移しかえることのできる体験を、
私は記すのだ。
パウル・クレー(『クレーの日記』より)
1月のHACのために、サンプル画を作っています。今年は毎月さまざまなアーティストを取り上げ、彼らへのオマージュ作品を制作してゆこうと思っています。
その第一回に、パウル・クレーを選びました。クレーの絵は小品が多く、水彩で描く色彩には特に惹かれ、影響を受けてきました。絵の中に奇妙な形や文字を入れることも、クレーから学びました。上の言葉は、若い頃何度も読み返した『クレーの日記』の抜き書きから。
実は新年とともに始めたことがあります。「超」の付く早起きです。バカじゃないの?と言われても構わない。3時に目覚ましをセットしています。でも寒いから、実際に起き上がるのは3:30頃です。もちろん早寝。早朝に仕事をし、その後家事や用事、外出を済ませ、午後にまた仕事をする、というスケジュール。今のところ、これが功を奏しており、自分ひとりの時間を作る工夫を、なぜ今まで怠っていたのだろうと反省。
それで気付いたのですが、夜明けとともに、小鳥たちの声が聞こえるのです。きっかりその刻に、さえずりが聞こえてくる。寒くても窓を開けて、そのさえずりを招き入れたくなる。クレーの日記にもこうあります。
朝まだき、山の彼方に友あり