日々
大先輩の桐原春子さんが、「なんだかヒロさんのこと、親類みたいに思うの」と、唐突に言って下さったのは、いつだったか。お忙しい中ご都合がつくと、グループ展や個展に足を運んでくださり、また同じ市内に住む長年の大親友の方をご紹介いただいたり、ブログで私の関わるイベントを紹介くださったり、いつも感謝でいっぱいです。
ファッションモデルみたいに長身で美人でおしゃれな桐原さんから「親類」だなんて、恐縮×100!と思いながらも、姉妹を持つ者独特の似た体質ってあるのかな・・・、なんてちゃっかりこんなところに書いてしまう私は、まったく厚かましい女です。
その桐原さんから、新刊を頂戴しました。『ハーブ育て&活用法』。初心者でも、お庭が無くても狭くても、ハーブの種類や育て方が丁寧に説明されて、その活用法もわかりやすい。お料理レシピを見ていると、小さな庭に今年はどんなハーブを育てようと、いつも思い付きばかりの私が、アレ、少し計画的。いや違った。単なる食いしん坊です。
お姉さまの熊井明子さんとの対談も、とても興味深く拝読しました。
雑誌「ゆうゆう」に連載されていた記事を中心にまとめられたご本とあり、ああ、いいなあと感じます。この5年あまり家族の介助生活をしてきて、その間あった様々な大波小波の度、植物にどれだけ救われたかを思ったからです。
辛い時でもご飯は一日3回、作って食べます。睡眠をしっかりとって安全運転。規則正しく暮らし、元気に体を動かさないと、こちらも体調を崩してしまう。しなければならない家事や仕事を横糸としたら、縦糸にいつも季節の庭仕事がありました。
偉そうに言える庭ではまったくもってない、いかにも粗末でちっちゃな地面なのですが、レンガを敷いたり、芝を植えたりの大仕事をしたのは、いつも先の見えない不安と闘っていた時だったように思う。
不安がふっと薄れ軽くなると、花苗を買いたくなる。植え替えをしたり、ハーブを摘んで料理に使う。そういう小さな喜びが、自分を支えてくれているのだと、今さらのように気付くのです。
体を低くして地面の仕事をする季節が、またやってきましね。(いや、椿の剪定も待っているのだった。)桐原さんのご本とともに、今年もよい時間を過ごしたい。
他界した友人の命日を前に、先日ご両親を訪ねた。お母さまがお花好きで、庭に咲いた花を写真に撮り、PCに取り込んで言葉を添え、ワード絵日記のようなハガキを作る。それを不定期で子供たちに送るというのを、ずっと続けていらっしゃる。ホルダーにまとめられた数えきれないその手紙を拝見しながら、こんなお母さんを持って、友人の人生は花丸の幸せだったなと、無念の向こうに明るい野原を見る思いがしました。
これは、そのお母さんが作ったミニチュア椅子。シャンパンの蓋でできています。お祝い事があるたびに増えてゆく椅子。
絵日記手紙も、シャンパンキャップの椅子も、しばらく間が空いている様子に胸が痛んだけれど、きっと少しずつ少しずつ。笑顔で見送って頂き、悲しい記憶と季節の気配が、新しい春の香りになって刻まれました。