25 Apr 2017






 去年の秋からずっと慌ただしかった反動か、ここのところ外出が続きます。投稿が遅れましたが、桜も時間を作って眺めました。山の上の自然公園には、薄紅色のトンネルが。道路に椅子を並べてもらって見物する、お年寄りのグループ。今年一番の花の風景でした。

 春は食欲も刺激されますね。八百屋さんが突然賑やかになるから。

 農協の直販所でタラの芽をみつけ、ニンニクとエリンギとオリーブオイルで炒めました。一日目はパスタで頂き、二日目はパンに載せて。春の苦み。土と緑のせめぎあいの味。今だけのご馳走に感謝。

 小さな庭に、紫蘭の芽が4つ。スズランの芽は12個も! 成長を確認するのと小鳥のさえずりを聴くのが、毎朝のささやかな愉しみです。


15 Apr 2017



「可食的な絵」と夜中のケーキ

 これは私が最近描いた、ホワイトアスパラガス。

 野菜や果物やお菓子を描くときだけでなく何を描くときにも、「美味しそう」に描きたいというのがモットーです。これはシュールレアリスムの画家、サルバドール・ダリの教え。

 「絵画は可食的でなければならない」は、たしか若い頃に読んだ画家の著書『我が秘められた生涯』にあった名言。エキセントリックな画家の、当時は「?」なこの発言に接して以来ずっと、絵を描くとき、それに人の絵や作品を感受し感動するときにも、もはや無意識の領域にしみ込んだ、大事な条件。

 可食的に描けなかったら、その絵は失敗。難しい。

 もしかして、「人はお腹いっぱいだと創造はできないのであ~る」ということを、ダリは暗に言いたかったのかも、などと、読後何十年も経た今、深読みもしてみる。

 ・・・なんて言いながら、昨夜は寝る前に↓のケーキを焼きました。夜中のパンやケーキは、翌朝へのプレゼント。寝なくちゃな、でも作りたい。


 朝日新聞のネット版にあった菅野のなさんのレシピを参考にしました。野菜のケーキって新鮮です。もともと甘党ではない私にぴったり! しかも、バターや乳製品を使わない時短レシピ。本当に簡単でした。お菓子をうっかり切らしたとき、こういうレシピがあるとすごく役立ちますね。それにここ何年か体調の変化で、なるべく卵や乳製品や脂っぽいもの、高カロリーのものを避けていますから、願ったり叶ったり。

 これはブロッコリーですけど、トマトでも、セロリでも、お茄子でも、ジャガイモでもいいかも。ちょっと試してみます。


 その前に、同じくココアクッキーも作りましたヨ。黒ゴマたっぷりで美味しかった。これまた簡単でビックリでした!

11 Apr 2017



日々

 大先輩の桐原春子さんが、「なんだかヒロさんのこと、親類みたいに思うの」と、唐突に言って下さったのは、いつだったか。お忙しい中ご都合がつくと、グループ展や個展に足を運んでくださり、また同じ市内に住む長年の大親友の方をご紹介いただいたり、ブログで私の関わるイベントを紹介くださったり、いつも感謝でいっぱいです。

 ファッションモデルみたいに長身で美人でおしゃれな桐原さんから「親類」だなんて、恐縮×100!と思いながらも、姉妹を持つ者独特の似た体質ってあるのかな・・・、なんてちゃっかりこんなところに書いてしまう私は、まったく厚かましい女です。

 その桐原さんから、新刊を頂戴しました。『ハーブ育て&活用法』。初心者でも、お庭が無くても狭くても、ハーブの種類や育て方が丁寧に説明されて、その活用法もわかりやすい。お料理レシピを見ていると、小さな庭に今年はどんなハーブを育てようと、いつも思い付きばかりの私が、アレ、少し計画的。いや違った。単なる食いしん坊です。

 お姉さまの熊井明子さんとの対談も、とても興味深く拝読しました。

 雑誌「ゆうゆう」に連載されていた記事を中心にまとめられたご本とあり、ああ、いいなあと感じます。この5年あまり家族の介助生活をしてきて、その間あった様々な大波小波の度、植物にどれだけ救われたかを思ったからです。

 辛い時でもご飯は一日3回、作って食べます。睡眠をしっかりとって安全運転。規則正しく暮らし、元気に体を動かさないと、こちらも体調を崩してしまう。しなければならない家事や仕事を横糸としたら、縦糸にいつも季節の庭仕事がありました。

 偉そうに言える庭ではまったくもってない、いかにも粗末でちっちゃな地面なのですが、レンガを敷いたり、芝を植えたりの大仕事をしたのは、いつも先の見えない不安と闘っていた時だったように思う。

 不安がふっと薄れ軽くなると、花苗を買いたくなる。植え替えをしたり、ハーブを摘んで料理に使う。そういう小さな喜びが、自分を支えてくれているのだと、今さらのように気付くのです。

 体を低くして地面の仕事をする季節が、またやってきましね。(いや、椿の剪定も待っているのだった。)桐原さんのご本とともに、今年もよい時間を過ごしたい。

 他界した友人の命日を前に、先日ご両親を訪ねた。お母さまがお花好きで、庭に咲いた花を写真に撮り、PCに取り込んで言葉を添え、ワード絵日記のようなハガキを作る。それを不定期で子供たちに送るというのを、ずっと続けていらっしゃる。ホルダーにまとめられた数えきれないその手紙を拝見しながら、こんなお母さんを持って、友人の人生は花丸の幸せだったなと、無念の向こうに明るい野原を見る思いがしました。

 


 これは、そのお母さんが作ったミニチュア椅子。シャンパンの蓋でできています。お祝い事があるたびに増えてゆく椅子。

 絵日記手紙も、シャンパンキャップの椅子も、しばらく間が空いている様子に胸が痛んだけれど、きっと少しずつ少しずつ。笑顔で見送って頂き、悲しい記憶と季節の気配が、新しい春の香りになって刻まれました。

10 Apr 2017



青木和子さんの新刊

 3月、青木和子さんから新刊『庭の野菜図鑑』を頂戴しました。今度は野菜がテーマと伺っていたので、花より野菜、果物より野菜、の私としては、とても愉しみにしていたご本です。

 以前あの美しい白いアトリエにおじゃました時、たしかこの本の「お姉さん」と言っていい『庭の花図鑑』の制作中でいらして、テーブルの上に大きな植物図鑑が置かれていたのが思い出されます。

 前作同様、繊細な色彩と博物画の香り漂う構図、丁寧に捉えられたディテイルの愛らしさ、上品なユーモア、対象を目にした作家の感動を、画集のように見入ってしまいます。存在自体が「細部」ともいえるスプラウトのページなんか、もう、もう・・・。

 前作に続き、名脇役の昆虫や小鳥たちも登場。特に、去年イモムシ「イモ子」を育てた身として、アゲハの幼虫をパセリの隣に見つけた時は、特別うれしかった。

 「この本の始まりもスケッチでした。絵を描くことはとても大事」

 添えられたお便りの中、青木さんからのありがたい言葉です。

 刺繍をなさる方にはもちろん、そうでない方にも、ぜひ手に取ってご覧いただきたい一冊です。