新しい画材
好きなように作るとは、自分が今見たいもの、自分が今ともにありたいもの、人にこう言われたからとか、評判がいいからとかではなくて今ここに生きる、自分の感受性を信じて作る事なのだと、改めて思います。
自分の持ってるものを総動員する。ものに限らず、思い出や胸に焼き付いた景色、言葉、友情、受けた親切、後悔や悲しみも、その日その日に浮かぶ有形無形の持ち物をゆっくりゆっくりかき集めると、小鳥が巣を作るように自然と、これが私と言える作品が生まれるのではないか。
「自分にとって自然な事をするのは、いつだってとても難しい事なのです」
もう30年以上前に読んだ、ジョージア・オキーフのこの言葉は励みになる。本当にそう。簡単じゃない。でも面白い。
新しい鉛筆は、水で溶ける。粉っぽい画材、油っぽい画材は、若い頃一通りはやってみたけれど、あまり相性が良く無くて敬遠してきた。たとえば、鉛筆、木炭、パステル、クレヨン、油絵具も、扱っていてあまり気持ちがノラなかった。
でもこの鉛筆はいい。すごくしっくりくる。今までもあったのでしょうか? いつもの画材店のページで偶然発見して、ドイツの STEADLER とイギリスの DERWENT 、2種類取り寄せてみました。
アクリルガッシュも本格的に使い始めた。やりたかった抽象にも適している。「ヒロさん、ずっと抽象、抽象って言ってるよ」と、親しいデザイナーの友人に言われてハッとした日からさえ、もう数年たつ。やりたいのにやってないことがあるのは、不自然で不健康だ。何十年ぶりだろう。画室にイーゼルを据えました。
ミクストメディアのお教室では、アッサンブラージュというのを始めた。雑誌の仕事で1年やってみて、これはやる価値があると思ったから。
'assemble' とは、集める、組み立てる、集めて整理するというような意味で、美術用語 'assemblage' は、立体物のコラージュを表します。クラスでは糊付けしないで自由に作った作品を撮影。データとプリント作品として残そうという企て。1月の第一回は慣らし運転のつもりでしたが、皆さんよく表現されていた。これから益々愉しみ。
自分の持っているものを総動員する。日々の気持ちの波もなにもかも。その象徴が、このアッサンブラージュという技法のような気がしていて、メンバーの皆さんに支えられ、大事に育ててゆきたいと思っているところです。