18 Apr 2018




都会と田舎

 銀座での個展を終えて、早10日。日々があっという間に飛んでいきました。

 お忙しい中お時間を作って観にいらして頂き、本当に本当にありがとうございました。銀座では6年ぶり、3回目の個展でした。

 一度目は東北の震災、そして原発事故のすぐ後でした。見たことの無い、暗い暗い銀座だった。そんな中でも、公共交通機関を使って観にいらしてくださった皆さまへの御恩は忘れない。

 二度目は父が体調を崩した直後でした。

 今回はじめて何事もなく、無事に多くのお客さまを迎えられた銀座展。ギャラリーの赤瀬圭子さんと谷相さんに温かいサポートをいただき、搬入搬出を手伝ってくれたAさん、K子さん、そして姪のKちゃんにも感謝! とにかく無事に終えられたことにほっとしています。

 次回は地元、三島市での展覧会。2019年4月1日からひと月弱とたっぷりの期間、そして広くて素晴らしい会場で企画頂いています。すぐにそちらの準備に取り掛かるつもりです。




 沼津クラスの展覧会準備に始まった、めまぐるしい数か月でした。その間に冬が終わり、春も駆け抜けていった。新緑の自然に目を向ければ、おいしいお茶を「一杯どうぞ」と淹れてもらったように、疲れも取れ、心が整う思いがします。

 タイミングよく、友人のジャズベーシスト、金子健さんのライブが、車ですぐの裾野市中央公園内にある江戸時代の古民家、旧・植松邸で行なわれました。これは前日に道順を確かめるため、出掛けた時の写真です。




 上を見上げたり、足元に目を凝らしたり、園内にある五つの滝の水音に圧倒されたり。

 沼津から、長泉、裾野、御殿場を走るJR御殿場線というローカル線が大好きで、急ぐ必要のない上京時など、以前は時々乗っていた。松田まで出て、小田急に乗り換え新宿へ出ると、驚くほど交通費が浮くだけでなく、景色がいいので時間がかかっても飽きないのです。

 そんな時、イヤホンでジャズを聴きながら車窓を眺めるのが、たまらなく好きでした。運がよければ、富士山の勇壮な景色を角度の変化を味わいながら拝めますし、野山や田園の風景ばかりでなく、エメラルド色の渓谷が突如姿を現したりもします。

 ジャズと言えば、都会、夜、お酒、バー、というイメージですが、昼間の自然の風景とジャズの組み合わせもまた格別。




 旧・植松邸は、農家の家。保存状態がとてもよい、国の重要文化財です。




BEFORE



AFTER


 大黒柱、太い曲がった梁、囲炉裏越しに見るライブは、都会のジャズバーで聴くのとは違う趣。金子さんとピアノの田村和大さんの息の合った掛け合いに引き込まれ、素晴らしい演奏を堪能しました。茅葺屋根の下に集まった満員のお客さまも大喜び。一緒に行った父(何を隠そう、昔バンドをやっていた)は、金子さんとご挨拶ができて感激の様子でした。築300年のこのお邸も、こんな愉しいことをしてもらえて、どんなにか嬉しかったことでしょう。

 レイ・ブラウン、オスカー・ピーターソン、ナットキングコール、デューク・エリントン、チャーリー・パーカー等のナンバーに加え、アンコールにディズニー映画「ピノキオ」から「星に願いを」を聴けたのもよかった。この曲には、庄野潤三先生の思い出があるからです。

 大きな演奏会の予定もあるそうで、富士の裾野でジャズPart2が、今からすごく愉しみ。詳細が分かり次第、こちらでもお知らせしたいです。