おまじない
こちらの芝は貫禄のグリーン。明日館の前庭です。イベントの時以外は立ち入り禁止で、大事に手入れされている。結婚式の記念写真に、申し分のない背景ですね。
先日の東京クラスの日、近づくMALAKAS(台風16号)のせいで、エアコンONの教室内まで尋常じゃない湿度でしたが、大きな桜の木と歴史に守られたこの建物にいると、何があっても大丈夫という安心感に包まれます。
この日は私がかつて描いたイラストレーションをサンプルに、小さな雑貨を描く練習。そしてそれをカードや封筒にアレンジする練習をしました。(沼津クラスでは来週29日に同じ課題を行います。)
水彩を言葉だけでお教えするのは、正直不可能と思っています。絵は頭で描くものじゃないですから。でも、皆さんのお机のそばに行って、その方の絵の具、その方のパレットを使って、その方だけのために間近でデモンストレーションをすることで、エッと思うほどの変化が起こることがあります。(そんなときは、心で小さくガッツポーズをしています。)
絵を描くことの基本は、当たり前ですが、やっぱり「観る」ことなのですね。そして「感じる」こと。絵具の溶き方、筆への含ませ方、筆を運ぶときのリズムとか勢いとか、(小池知事じゃないけど)「スピード感を持って」描くこととか、すぐ近くでご覧いただくと、きっと何かの印象がその方に残って、「その気」がぐっと刺激されると思うのです。
じゃあ、マンツーマンがいいかというと、そうでもなくて。自慢じゃないですが、東京も沼津もすごくリラックスした、愉快な、ちょっとしたバラエティー番組みたいなクラスで、笑いのつぼみが春のタンポポみたいにそこここで開いてる。肩の力がまず抜ける。これは何より大事なことだと思います。
どうやったら絵が上手になるかな、よりも、どうやったら私が絵を描くことで得ている素晴らしい経験をお伝えできるかなと、いつも考えています。観ることが発展してゆけば、おのずと手もついてゆきますから。だからまずは、そこに近づくジャンプ台のようなものを、毎回考えて提供してゆきたい。
次回10月のテーマ=ジャンプ台は、「ファッション」。現在いろいろ考え中。お申し込みがまだの方、沼津クラス(10月20日)には少し余裕がありますので、ご連絡を待っています。
「好きなように描いて 幸せに死ね」は、晩年に絵をめちゃくちゃ描きまくった、作家のヘンリー・ミラーの言葉で、私にとって肩の力がストンと抜ける長年のおまじない。好きな言葉です。