13 Jun 2016




昇太(さん)

 最近うれしかったことのひとつに、ご存知、この人がTVの「笑点」大喜利の司会になった!ということがあります。TVはあんまり観ないのだけど、これを知ったとき、ヨシ、これからの笑点はできるだけ観なくっちゃ、と心ヒソカに誓いました。 

 大の落語好きが高じ、ファミリー一丸となって毎年大きな落語会を企画して、大勢の市民を愉しませている友人がいる。彼らに連れられて、春風亭昇太の落語に夢中になっていた時期がありました。

 昇太は同年生まれだし、静岡県旧・清水市の出身で、まず親近感がある。駆け出しの頃、たぶん柳昇師匠に弟子入り後、間もなくの頃でしょうか。静岡のローカル局でチョイ役(って言わないかな)のリポーターなどをやっていた。私だけが思っていたことかもしれないけれど、地方局の当たり障りのないのんびりした雰囲気の中、妙にハイテンションで、すごく一生懸命な感じが痛々しいほど浮いていた。昇太が出てくると、昇太にしか目や耳、心が向かわなくなり、昇太を中心に宇宙が回転しだして周囲が銀河の彼方に遠のいてゆく~みたいな感じだった。それこそが才能の前夜祭だったのですね。

 その通り、日本に久し振りに帰ってきたら、昇太はぐんとメジャーになっていた。噺家さんなんだから当たり前なのですが、落語がまた面白いと言うんで、さっき書いた友人が誘ってくれたんです。それがきっかけで、昇太と同じく干支が「猪突」の私、すぐに夢中になりました。出不精ながら4回ぐらいは聴きに行ったかと思います。

 一度は下北沢の本多劇場。さも当たり前のような顔で、昇太は客席から登場。例の、帽子をかぶった、まるでスカバンドのメンバーみたいな格好にボストンバッグ。

 ステージに上がると、何かブツブツしゃべりながら、着ているものを手際よく脱ぎ始める。ボストンバッグから商売衣装の着物が出てきた。ステージ上で着替えはじめたのです。ご安心ください、ストリップのようなことではなかった。へー、面白いことをしてくれると、益々ファンになりました。

 肝心の落語については笑うだけで、なんの知識も記憶力もなく、語るすべなしの私ですが、その頃は新作落語が主だったような気がします。その後、「古典も面白い」と友人に聞いた記憶がある。「ほぼ日」とも何かやっていたでしょうか。きっと腕をぐんぐん磨かれて今に至り、大抜擢となったのでしょう。とにかく、親類が何かの賞をもらったようにうれしい。

 その笑点、第一回目はアガるそぶりさえなく、昨日は大喜利の前のお笑いのコーナーで、サンドウィッチマンと掛け合うコントでも笑わせてくれた。(私服のジーンズの革のひざ当てがおしゃれでした。)



 写真の『楽に生きるのも、楽じゃない』は、昇太に夢中の頃に購入した文庫本。めちゃくちゃ面白いです。アマゾンで見たらもう絶版なのですが、ユーズドでも買う価値大と思う。なんだか体調いまいちだな~と感じたら、どこからでも読めば、ドリンクや水素水や、ビタミン剤やカルシウムより、ずっと安価ですむ。おススメです。

 と、ここまで書いてアマゾンをチェックして、腰を抜かしそうになりました。先々週見た時には1円だったユーズドが、なんと6,543円に!!! ゼンゼン安価じゃない。細かい円刻みの意味もワカラナイ。しかも1点しかないし。TVの力、おそるべしです。