31 Mar 2020




Web Gallery

 今回の個展では、初めて写真表現でご覧頂いています。そのきっかけは、雑誌「私の花生活」(日本ヴォーグ社)の連載「コラージュの花箱」で掲載いただいた糊付けしない立体コラージュ、アッサンブラージュの写真。絵を描くようにコレクションを組み合わせ構成し、カメラマンの渡辺さんに、お互いが響き合う瞬間をとらえて頂く。とても愉しい仕事で、現在二年目を迎えています。これも、良き理解者、編集長の青木さんのお陰です。ショートエッセイも含め、100%自由に創作させて頂いています。



作品 「Beachcombing / ビーチコーミング」
400 x 305 x 20 mm(額外寸)
16,000円(額付き)

撮影:渡辺淑克


 AC, Gallery のサイトでは、Web Gallery がスタートしています。とてもいい感じに特設いただき、うれしい! このような時期ですので、お運びいただけない方がご覧になれるよう、特別に作ってくださったのです。こちらをクリックするか、exhibit のページに貼ったリンクからご覧ください。

 カートのボタンを押すと、WEB SHOP に飛びます。そちらで額装の様子をご覧いただけます。気に入って頂き、ご自宅に、またはギフトに、お考えいただけましたらとてもうれしいです。ギフトラッピングも承ります。

 インスタグラムやこのブログでも、作品の紹介を続けていきたいと考えています。よろしくお願いします。






30 Mar 2020





自分の身に起きることはすべて

 搬入完了。厳戒態勢とも言える東京へ行くのは正直気が重かったですが、ACギャラリーに到着すると、オーナー夫妻がマスク姿の笑顔で待っていてくれて、心底ほっとしました。

 夫妻とは美術大学が一緒で、たぶん構内ですれ違ったり、同じ講義を受けてたりしていたかもしれません。共通の友人もいる。だからでしょうか。ずっと会っていなくても、なんだか昨日も会ったような気持ちになる不思議なお二人。本当にお世話になっている。

 飾りつけのテンポもよく、またいろいろな話もでき、しばらく重い気持ちだったのが、救われました。




 全28点、ちょうどぴったり壁に収まった。

 写真作品とは言え、会場で直にご覧頂けたらどんなにいいだろうと思う。しかし今回は、手放しで来てくださいとはとても言えません。どんな会期になるかわかりませんが、いずれにせよ、思い出に残る個展となりそうです。(在廊日は、exhibit のページをご覧ください。)

 


 ここのところ、寝る前読書はボルヘスばかり。自分がかなりヤバイときに読む作家の筆頭がボルヘスです。読書と言っても、疲れきってほぼバタンキューなので、傍線を引いたところを読み直すくらいですが。


   作家あるいは人は誰でも、自分の身に起きることはすべて
   道具であると思わなければなりません。あらゆるものは
   すべて目的があって与えられているのです。この意識は
   芸術家の場合より(「より」に傍点)強くなければならない。
   彼に起きることの一切は、屈辱や恥ずかしさ、不運を含め、
   すべて粘土や自分の芸術の材料として与えられたのです。
   それを利用しなければなりません。

  『七つの夜』 / ホルヘ・ルイス・ボルヘス著 野谷文昭訳 より



 この部分を、今まで私は何べん読み返したことでしょう。

 ひと気のない灰色の銀座を目の当たりにし、コロナへの不安はいや増しますが、帰りがけ、デザイナーと陶芸家である赤瀬夫妻とも似た話をしてギャラリーを後にした。しばし清々しい思いで満たされました。 

 ACギャラリーでは、会期中、Web ギャラリーを開設します。URLが分かり次第、またこちらとインスタグラムでお知らせいたします。少々お待ちください。お運びいただけなくても、そちらで私の新しい試みをご覧頂けましたら幸せです。よろしくお願いします。
 

19 Mar 2020




個展のお知らせ

世界がこんな風になってしまうなんて、今まで思ったことはなかった。若い頃、SF小説が好きだったけれど、SFはSF。架空の世界だと・・・。

特に好きだったのは、カート・ヴォネガット・ジュニアと、フィリップ・K・ディックという、今思えば両極端な作家ふたり。このコロナウィルスの影響の中、思い出したのもこの二人の言葉だった。

ヴォネガットが、これを主人公に語らせたのは、たしか小説『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』でだったと思う。短い言葉です。誰でも暗記できる。それは、


「愛より親切を」


なんというシンプルなメッセージ。「愛」と言われると重くなっちゃう人もいる。方向を誤る人もいるかもしれない。でも「親切」なら誰にだってできる。コロナが自分も含め、人心をどこかでマヒさせるようなことがあったなら、この短いマントラを唱えるといいんじゃないか。「愛より親切を」。

映画「ブレードランナー」の原作者として知られるディックの方は、もうちょっとエッジが鋭い。インスタグラムにアップした画像をここにも上げさせてください。






このような難しい時期に、個展を開きます。初めての写真展です。

プロのカメラマンに撮って頂いた雑誌の仕事をはじめ、ここ数年の間に撮りためた、日常、好きなブロカント、花、イギリスで撮ってきた写真など、自分が壁に飾りたいと思える、一緒にいたいと思える写真を選びました。

写真は若い頃から大好きだった。アッジェ、アーバス、ブレッソン、アンセル・アダムス、星野道夫、テーマにこだわらずに、好きな写真家がいる。写真を撮ることは、私にとって絵を描くことと同じように、バランスを保つ手段であり表現なのだと、インスタグラムを始めて感じるようになった。

にしても、写真展とは我ながら大胆。でもやりたいことは、やりたいのです。こうなるには、きっと何か理由があるのでしょう。

詳しくは、exhibit のページをご覧ください。AC, Gallery オーナーの赤瀬さんから、Web Gallery のご提案も頂いた。お運びいただけない方にも、ぜひご覧頂きたいです。よろしくお願いします。








幸せな講師

沼津クラスのグループ展、無事終了いたしました。

この様な難しい時期にもかかわらず、有難いことに多くのお客さまにお運びいただきました。皆さま、マスク着用、手指の消毒にもご協力下さり、毎日なごやかに会期が進んだこと、ただただ感謝です。

お運びいただけない方が多くおいでと思い、インスタグラムに作品の画像を次々postしたところ、予想を超える数のコメントを頂戴しました。国内は勿論、イギリスからも! どんなに励みになったことでしょう。

以前、震災の直後に、銀座ACギャラリーで個展をしました。福島の原発事故の影響で、銀座の駅は薄暗く、人も少なかった。よいことなのかどうかわからないまま、しかし開きました。

いつもと同じとは行きませんでしたが、おいでくださったお客さまと会場で静かに話す。心細さが少し晴れました。そしてお客さまも皆そうだったと思います。

原発事故とコロナウィルスは違うけれど、沈みがちな心に、かすかながら風が通り、特に今回のグループ展では多くの方が、「よし、自分も何かを始めてみよう」と思ってくださったような気がします。皆さんが笑顔で会場を後にするのを見て、そういう実感がありました。

生徒さんの作品が、また素晴らしかった。

まだの方は、ぜひインスタグラムでみんなの作品をご覧ください。Gallery PLAZA の白く広々した空間にあふれた光を、きっと感じて頂けると思います。

私は幸せな講師です。

13 Mar 2020


Before

After

And after

グループ展

 昨日始まりました。

 このような情勢の中、迷って迷って、決断しました。お客さまも少ないだろうと予想していましたが、例年ほどではないにしても、昨日は多くのお客さまが見え、有難い思いでいっぱいになりました。

 東京の生徒さんもお二人ほど、気を付けて気を付けて、来てくださった。ありがとう。

 しかし、ご無理は禁物。インスタグラムにそれぞれの作品を、少しずつポストして参ります。ご覧いただけましたら幸せです。


9 Mar 2020




バーバラさん

 沼津クラスのバーバラさんは、みんなの人気者です。なんと言ってもその笑顔が素晴らしい。沼津の教室がレギュラーになるまでは東京のクラスに、こちらから高速バスで通ってくださっていました。だから東京のレッスンにも仲良しがいて、その笑顔は以前からみんなに評判でした。そういう声が、講師の私の耳に入ってくる。そのたび、本当にそうだなあ。バーバラさんの笑顔は絶品だなあ。いつも思うのでした。

 あ、バーバラさんは日本人です。念のため。この名前は、お孫さんが生まれて、自ら名乗りだされた別名。でも今では立派な「雅号」。

 これは昨年のUKアートツアーに参加下さったときのことを、バーバラさんが一枚の大きなシートに絵と言葉でまとめられた作品の一部です。あっ、ベッキーさんと私がいる! インスタグラムに投稿したら、ベッキーさんも大喜び。それに刺繍作家のキャロライン・ズーブさんも「Love this, Hiro-san!」、この絵の舞台、「Great Dixter House & Garden のみんなも、きっと観たがると思うわ!」とコメントをくださいました。キャロラインさんはこちらのチーフガーデナーの方と懇意なのです。

 さっそく有難い感想をいただけた今回のグループ展、出品作品。新人も古参も、自由でのびのびとした、アイデア一杯の水彩画やコラージュたちを作ってくれました。

 新型コロナの影響を、気にしていない人はいないと思います。私たちも迷いました。でも、いろんな工夫と用心をして、12日(木)から17日(火)まで、時間を少し短縮しますが、予定通り開催することに決めました。

 時間その他、注意事項は exhibition のページをご覧ください。そしてどうぞ、どなたもご無理のありませんよう。

 メンバーを見渡しても、お孫さんのお世話に忙しい方、お仕事のこと、私のように高齢の親を持つ人、そしてやっぱりそれぞれこの件には少なからず不安があります。バーバラさんはそんな仲間に、「皆さん無理せずバーバラにお任せ下さい」と、そのお日さまのようにあたたかな笑顔が浮かぶメールを送ってくれ、毎日でも在廊する勢いで当番を買って出てくれました。なんという仲間。なんというバーバラさん!

 ほかにも頼もしい若手がいてくれたり、ギャラリーに近い方が重責を担って下さったり、長いこと生きて来ても、自分に自慢できることは何一つありませんが、私の生徒さんはすごい。沼津も東京も同じように、個性豊かで率直で、明るくて優しくて、素晴らしい女性の集合。私の誇りです。みんなで支え合い、きっと会期を無事に送りたいと思っています。

 そしてこの困難な時期に、ご覧くださった皆さまの心が、少しでも軽やかになったなら、メンバー皆の何よりの幸せです。