22 Feb 2019




マイちゃんと台所

 相変わらずバタバタしていますが、一つうれしいことは、昭和の台所に「ホワロ」が来たこと。壊れないものだから、古いガステーブルの部品を交換しぃしぃ、相当長い事使っていた。でももうこれだけ使ったんだからいいだろう。とうとう新調した。

 ホワロはリンナイから出ている、通販オンリーの真っ白いガステーブルです。今はシステムキッチンの素敵なビルトインをお持ちの方がほとんどだろうから、もはやあまり知られていないことかもしれない。市販のガステーブルには真っ白と言うのがまずない。近いものがあっても、スイッチのあたりにでかでかと文字の説明があって、すっきりしたものがない。

 これは最近出た新バージョンで、旧バージョンよりスイッチがスタイリッシュ。今まで掃除が面倒で使うことがなかったグリルもすごく有能。「ココットプレート」というのが付いていて、付属のスリットのある蓋を使うとグリル内部のお掃除が(ほぼ)必要ないのです。チキンにハーブミックスを振ってただ焼くだけでも美味しい。余分な油も落ちる。それからお野菜のグリルは今まで電気オーブンでちんたらやってたんだけど、ずっと早く美味しくできる。茄子の焼きびたしなども億劫でなくなった。

 そしてなによりうれしいのが、お鍋をかけた時、背景が白い事。白い画用紙に絵を描く気持ちで、お料理ができるから。素材の色が、目にはっきり映る。それだけで今までよりずっと愉しい気持ちで台所に立てる。
 

青梗菜と豚肉の炒め煮
チキンと長葱のクタクタ煮スープ
タラと野菜のアクアパッツァ風
ニック・ジャガーこと、肉じゃが


 マクラが長すぎました。タイトルの「マイちゃん」の話。

 マイちゃんは、麻衣ちゃんでも、舞ちゃんでも、真衣ちゃんでもなく、マイケル・ジャクソンのことです。彼はわたしやマドンナや百恵ちゃんと同い年で、生きていればちょうど節目の年だ。今まで実は、ほとんど気にして聴いたことがなかった。あんなに人気だったのに、若い頃仕事でいくらか関りもあったのに、まったく興味が持てなかった。

 それが、よく聴いているBBCの 'Words & Music' という好みのラジオ番組があるのですが、そこで一曲聴いてボッ。着火しました。

 その記念すべき曲とは、「スリラー」の一曲目 'Start Something' 。ちょうど年が変わる頃だったし、新しい仕事やプロジェクトも始まって、気持ちにしっくりきた。マイケルは(昔の同僚はみな、まるで友人でも呼ぶようにそう言っていた)こんなにすごかったのか!と、何十年もの時を経てようやくわかった。

 その後、また同じ番組でこんどは「Bad」から、'Man in the Mirror' がかかった。これもよかった。

 というわけで突然変異的に、毎日のようにマイちゃんを聴く日々となりました。

 ではなぜマイケルでなく「マイちゃん」なのか。これは料理家の平野レミさんがそう呼んでいたからです。平野さんはマイケル・ジャクソンが大・大・大好き。もう何年も前に、どこかでレミさんがそう言っているのを観た。

 夫の和田誠さんはそんなレミさんに、マイケル特製時計をプレゼントするなど、理解があったように思えた。でもある日「マイちゃんは天使だ」と言うレミさんに、「天使は整形しないだろ」。それを聞いたレミさんは怒った。しばらくご飯を作らないくらい怒った。そのことを話すレミさんの表情が、何とも言えなかったのです。遠くを見るような、悲しさと怒りと諦めと決心とが入り混じったような、言葉で簡単に表現できない表情でした。

 レミさんのお父さん、仏文学者の平野威馬雄さんは、戦後日本で生まれた多くの恵まれない混血の子どもたちを保護し、ご飯を食べさせてあげた人。そんな平野家でレミさんは一生懸命お手伝いをして、幼い頃から料理の腕を上げたのだと、それは以前から知っていた。

 イギリスにいた頃、TVのトークショーにダイアナ・ロスが出て、マイケルのことでネガティブな質問をされたのを観たことがある。その時彼を擁護するダイアナ・ロスの表情も、レミさんと似ていた。

 マイケル・ジャクソンの歌をイギリスのラジオ番組で聴きながら、これらの話全部が思い出された。

 マイちゃんの歌を聴きながらだと、どんなに忙しくても元気が出る。よし、やろう!という気持ちになれる。そんなパワーがみなぎっている。

 夕飯を作るのがしんどいときも、私にはマイちゃんがいて、ホワロがある。よかった。




そしてこの食器洗いのタワシもある。料理家の有元葉子さんプロデュース、ラバーゼのタワシです。ちょっと贅沢タワシですが、その価値はあります。黒い色に惹かれて手に入れたら、他のが使えなくなりました。 

4 Feb 2019



〇月×日

 1月はとうとう1回しかブログを書けなかった。今まで自分が3人くらいいたらなあ、が口癖だったけれど、いっそ5人に増やしたい。すべきことが増えているのもそうだけど、益々ノロマになっているジブン。覚え書きも兼ね、1月のことをざっくり書き留めておこうと思う。

1月〇日
 父の通院。担当のドクターは大変いい方で、どんなにいい方かというと、いつも笑顔で接してくださる。その笑顔がとにかくあたたかい。そして例えば父が不安げで元気のない表情の時など、父の膝をポンポンと叩き、「大丈夫ですよ、あの戦争を生き抜いてこられたんだから」と言ってくださるような方です。安心してお任せできる、ありがたいドクター。

1月△日
 上京。撮影に日本ヴォーグ社へ。今年から扉絵を担当させて頂く季刊誌「私の花生活」は、押し花の雑誌です。花をテーマにしたアッサンブラージュ的コラージュで箱を使うと、昨年のうちに話がまとまっていました。糊付けせずに置いた状態の方が自然と思い、編集長のAさんにお願いして、スタジオで毎回立ち会わせて頂くことにした。撮影はカメラマンのWさん。予期した以上にすごく美しく撮って頂きよろこぶ。日本ヴォーグ社の社食のおしゃれなこと、社内のそこら中にハンドメイドの美術品が飾られていることに感動しました。3か月に一度、お訪ねできるのがとても愉しみ。

1月◇日と〇日
 1月のHACはルーシー・リーへのオマージュで、パピエマシェ。紙の器を作る。そのサンプルを制作。気に入ったものが仕上がる。ルーシーの色彩を、華やかな中にしっとり感のあるぼかし染め和紙で表すのは、ルーシーへの敬意につながると勝手に納得しながら調達したら、上手く行った様な気がする。

1月△日
 1月HACのキット作り。4色の和紙をずらしてセットすると、虹のようできれい。きれいだなあ、きれいだなあと思いながら人数分まとめる。

1月◇日
 以前からずっとずっと抽象に興味があり、そのモデルを作ろうと、布のモザイクを作る。布は大好きな素材だし、端切れが沢山ある。ミシンでめちゃくちゃ縫いをして、蓑虫が作ったようなものが一つ生まれて、安心して寝る。




1月〇日
 伊豆の国市のギャラリーnoirさんで開催の「箱市」に初参加させてもらうんで、不要なものを出し、見せ方にも工夫をする。お店屋さんごっこみたいで、愉しい。でも値札を付けるのは苦手。値段を決めるのに時間がかかりすぎる。

1月△日
 父のケアマネージャーのAさんがみえる。Aさんにお世話になって、早3年目。この日も愉快な会話が弾む。午後、父をデイサービスに送り出した後、伊豆の国市へ搬入。

1月△日
 沼津市プラサヴェルデにて沼津クラス。この日は水彩クラスの午前から、アートクラスもスタートさせていただくことに。パピエマシェを乾かすのに、時間がかかりそうだったのでやむなく。水彩の方には悪かったのですが許していただく。乾きを早くするため、ドライヤーを使用してたら、お教室のブレーカーが落ちるハプニング。にもかかわらず、皆さん美しく仕上げてくれた。ありがとうございました。




1月◇日
 車の点検。待ち時間にニトリ。パピエマシェの器にうってつけのLEDキャンドルを見つける。4個で300円。(追加でまた買って、うちには今8個これがある。夜になるとうれしくなる。)




1月〇日
 東京HAC。沼津クラスのようにブレーカーが落ちないよう、まずスタッフのTさんに確認する。3台まで同時に使えるとのこと。暖房地獄。なかなかに過酷なレッスンでした。でも、みんなに喜んでいただけてよかった。

1月△日
 4月の個展リーフレットのためのインタビューを受ける。三島の「さんしんギャラリー善」へ。書いてくださるのは、ベテラン編集者の寺坂厚子さん。出版関係に共通の話題がいくつかあり、時間を忘れて話し込んでしまいました。よい出会いに感謝。

1月◇日と〇日
 東京の水彩レッスン。4月の個展のために駆け出しの頃の作品を引っ張り出しているので、いくつかほんの一部ですがお見せした。今とはかなり違うスタイル。興味深そうにご覧頂けた。◇日の放課後は、5月に予定しているHAC UK ART TRIP の打ち合わせをベッキーさんと。Egg というカフェを開拓。そのビルの7階にある、豊島区立郷土資料館が面白そうだったので、翌日ひとりで行って見た。池袋モンパルナスと言われ、戦前画家が多く暮らした地区。芸術家のための賃貸住宅群などもあったそうで、そのジオラマに見入る。戦後の池袋駅前に広がる闇市もジオラマになっていた。




1月△日
 伊豆の国市ギャラリーnoirさんへ、父とミニドライブ。箱市と、オーナーの平井さんの奥さま、直子さんの洋裁のお弟子さんたちによる展覧会を拝見する。お洋服展には、沼津クラスの生徒さんや同級生が出品している。どの方のお洋服も素敵で、お顔が浮かぶ。箱市で、混ざり糸のニットキャップ購入。父も平井さんとおしゃべり出来て嬉しそう。帰りに遅い初詣。三島大社で久々、大吉のおみくじを引きました。タッチウッド!




1月◇日
 2月のアートクラス、水彩クラスのノーティスをする。アートクラスは素材集めと仕上がり予想を並行して頭の中で進め、よしと思ったらまず皆さんにノーティスする。人数が月末までに確定し次第、素材を発注したり探しに出かける。予算も立てないといけない。毎回アクロバットみたいなことをしている。不思議と着地点があり、スリリングながら、なんとか上手くいく。これも、面白そうに参加してくださる皆さんのおかげです。感謝。




1月〇日
 掃除。4月の個展の撮影用作品をそろえる。

1月△日
 さんしんギャラリー善のFさんと、カメラマンのMさんを迎える。リーフレット用の撮影。お二人とも、さすがプロ。狭いスペースをものともせずに、サクサクと決断し、どんどん撮影してくださる。その合間に、Fさんがいろいろ励ましの言葉を下さる。褒めていただくと木に上るタイプなので、Fさんにぜひまた遊びに来てくださいとお願いする。Mさんは世界を旅して撮影している写真家。会話の中で心に響く言葉があると、すぐにA4のホルダーに留められた紙に大きな字でメモされる。気持ちのいい方。年末に、二度目のさんしんギャラリー展があるそうです。旅の話、紙の話、制作への思い・・・。撮影終了後のお茶も愉しく。

1月◇日
 父のボランティアのハーモニカ演奏(介護施設で月に一度やっている)の、歌詞カードを作る。今回から当分私が多忙を極めそうなので、ウクレレ演奏はやめることに。歌詞カード作りと、当日のMCサポートのみにする。今月もギリギリになってしまったが、前日の夜、やっと仕上げてPDFで施設に送信。これをスタッフの方が人数分コピーし、きれいな表紙を付けて当日利用者の皆様に配られる。ありがたいです。

1月〇日
 ボランティア当日は、午前中に父と音合わせをする。女性が歌いやすいキーのハーモニカにしてもらうため。利用者さんのほとんどは女性だから。この日は男性が5~6人おられた。そして父が「雪山讃歌」などを選曲したせいか、よく歌ってくださった。ヤッター、という感じ。父が演奏する姿と皆さんの歌声を動画に撮って、インスタグラムに投稿したら、とても多くの方が観てくださっている。コメントも沢山いただいた。父に伝えるとうれしそう。ありがとうございます。



 
 というような一か月でした。書き出したら、ンー、ナンカ、スッキリシタミタイナキガスルゥ。←大坂なおみさん風に。