19 Mar 2016





雨とパン

 大雨も上がり、窓の外はぽかぽか温かい陽ざし。でも安定したパンの発酵には真夏以外、ケースを使う。大型タッパーに、寒い季節には熱湯を張ったカップを入れてぴったり蓋をし、布で二重に保温します。気温によって、お湯の量や布の掛け方を調節しながら。

 発酵やベンチタイムにはいろんなやり方があると思う。堀井和子さんの本には、ビニール袋に生地を入れて口を閉じ発酵させるとあります。濡れ布巾やキャンバス地で生地をカバーするというのも試みたけれど、私にはラップでふんわりカバーしてタッパーのこの方法が楽です。

 堀井さんの生地の作り方でいいなと思ったのは、まず粉の半量をぬるま湯に加え、泡だて器でなめらかに混ぜ合わせた後、残りを入れるという方法。粉が舞いあがらずに落ち着いて作業できるし、混ざり具合もすぐに均一になる。私は二度目の粉の時、菜箸を使う。ある程度菜箸で混ぜた後、へらで混ぜ上げる。

 どんなことも繰り返すうちに、自分に丁度いいやり方を見つける。その工夫が愉しいのですね。

 「一月居座る、二月逃げる、三月去る」。面白い言葉を、教えてくれる人がいる。車窓のようにびゅんびゅん後方へと去ってゆく3月の景色の中で、貴重な言葉や姿にいくつも出合い、励まされたり、胸がつまったり、よし、私もがんばろうって思ったりする毎日でした。

 書きたいことはいーっぱいあった、というか今もあるのですが、書くとなると何から書いていいかわからなくなる。私は感動屋で夢中になるタチだから、つい力が入ってしまうのです。

 何を書こう、と迷った時、「とにかく机の前に座って書きはじめること」と、宇野千代さんが著書の中で勧めている。もしその時雨が降っていたら素直にただ、「雨が降っている」と書き出せばいいのだと。今日の私の場合は、雨が「パン」でした。