For the Roses
instagramの投稿には、好きな音楽をBGMに付けることが出来る。それが愉しくて投稿するというのもある。DJになったような気分がわずかながら味わえるから。
90秒がMAX。好きな音楽がブチっと途切れるのは嫌だ。エンドレスで聴いて貰えたらといいなと思い、木馬が回転するようにうまくつなげるため、こだわって秒数を加減する作業もする。
おそらくほとんどの方はミュートでスルーしているだろう。でも中には愉しみにして下さっている方も。選曲に共感のコメントを頂くことがたまにあり、うれしくなる。
たとえば、バラの花のドローイングには、ジョニ・ミッチェルの 'For the Roses' 「バラにおくる」をのせた。私が最初に買ったジョニのアルバムのテーマ曲で、あのレコードはジャケットデザインも凝ったものだった。彼女の声を聴くと、身体をヒューっと冷たい風が抜けるような感覚をおぼえる。枕の冷たいところを探すような、未知の場所を一人旅するような、緊張と解放を感じる。そしてその哲学的な詩に、勇気を与えられる。
などと言うと、歌詞を全て理解しているかのようだけれど、リズムに乗った流れるような彼女の言葉を鼻歌でそらんじていたとしても、その意味が深いところでピンと来るようになったのは最近のこと。若い頃に出逢った芸術作品の数々が、年月を経て今の自分に新しく沁みる。音楽に限らずアートにも文学にも、同じことがまま起こる。
パウル・クレーは若い頃に描いた絵を、晩年になり、再び描いてみたという。面白い実験だと思う。