1 Dec 2016



Galerie 412

 いつにもまして、夢のような6日間でした。初日には11月の雪! 思えば準備段階から、急用に次ぐ急用でスケジュールが定まらなかった。にもかかわらず、奇跡のようにつじつまが合い、何かに守られているかのように無事に会期を終えられたこと。ただただ感謝です。

 新作は少なく、今までやってきた仕事から、気に入っているもの、特に文芸誌の挿絵を沢山ご覧いただけたのはよかったと思う。

 白と黒の絵は一見地味で、ましてや挿し絵は小さな絵ですから、今までじっくりご覧いただく機会があまりなかった。目立たずに小説を支えるという存在の仕方が好ましく思え、実はひそかに力を注いでいた仕事です。

 「墨の濃淡に色が見える」と言っていただくのがうれしかった。意識してそうしているわけではないけれど、そのものらしさを表そうとするとき、自然と頭に色が浮かんでいるのでしょうね。
 



 毎日多くの方においでいただき、かつて篠田桃紅さんも囲んだ白いテーブルの上での水彩デモンストレーションも、大好評でした。(インスタグラムに動画をUPしています。)

 そしてその同じテーブルで、最終日のクロージングタイム。お客さまも皆帰られた後、去年と同じように、ギャラリーの千鶴香さんがすっとワインの用意をしてくださる。搬入から手伝ってくれた anzu さんと3人でカンパーイ。(カワダは帰り、最寄り駅から運転のため、泣く泣く葡萄ジュースで。)このために用意してくださったのでしょう。ギャラリー仕様?の世にも美しいチーズも絶品。

 「余韻を愉しみたいじゃない?」と千鶴香さん。

 時間が来たら、次の週の人が傍で待っている中、大慌てで搬出するのでは、その「余韻」は味わえない。

 「オーナーの村越さんとね、もしそうしなくちゃいけないなら、私たちがギャラリーをする必要はないわね、って話すの」

 前回もそうでしたが、会期中、こうして様々な話をしながら、いろんなことを学ぶのです。そういえば村越さんと、私がかつて装画を担当した本の主役、彫刻家のワグナー・ナンドールとの縁にも、驚かされた。

 Galerie 412 に、私はある種のスピリットを感じている。そのおかげで居心地がよく、いつまでもいつまでも、ここでゆっくり絵を見ていていいんだという気持ちにさせてもらえる。それ以上のギャラリーって、あるでしょうか。ご来廊の皆さまも、そう感じませんでしたか? 




 お時間を作ってご覧いただき、ありがとうございました。

 そして自分、おつかれさま~!