12 Jul 2016



EAST MEETS WEST

 フェリシモのSさんには、帰国後まだ間もない頃、大変お世話になりました。当時フランソワーズ・モレシャンさんの監修する雑誌を会員向けに発行されていて、その中でハンドクラフトや雑貨の紹介などを、何度かさせて頂いたのです。Sさんは庄野潤三先生の大ファンでいらして、「波」を定期購読され、挿絵の感想なども頂きうれしかった。以来お忙しい中、私の個展にも足を運んで下さる。

 私が行く日まで決めて愉しみにしていたのを知ってか知らずか(?)、ご好意で展覧会の招待状を送って下さいました。渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の、フェリシモも関わられているトワル・ド・ジュイの展覧会、「アントワネットも愛したフランスの布 西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」です。

 友人が分けてくれたジュイの端切れを、大事に大事に使った、今年初めの weekend booksさんでのワークショップ。センスのいい友人が、住いのイタリアからフランスまで行って手に入れている貴重な布地でした。端切れとはいえ、しっかりした手触りのあるいい布ばかりで、ご参加の方々にとても喜ばれた。




 ロンドンに居た頃は、工芸品の美術館、V&Aミュージアムで、この布のある展示室によく足を運んだ。ただぼんやり、きれいだなーと眺め浸っていただけで、歴史について考えることも無く。今回この展覧会でそうだったのかと思ったのは、陶器などと同じように、アジアの手仕事がその源だったということ。よく知られる繊細複雑な銅版のデザインがバリエーションを広げて行ったのは、また遡って木版プリントの技法で描かれた植物プリントたちも、我らがアジア、特にインドの更紗にルーツを持つものだったのですね。

 田園風景が盛んに描かれたのは、産業革命の後、人々に素朴な田舎の風景に回帰したい欲求が起こって大評判になったからだということもわかった。そして今、現代の人々がこの布に惹かれる理由も、失われた手仕事への憧れからではないだろうかと思ったり。

 美しい布地にうっとりしながら、リストのお気に入りに印をつけた。小さな端切れを集めてまとめた、更紗帳やサンプルボードの数々。私にはそれが、神経を使って構成された現代アートのコラージュのように見えるのです。サラ・ミッダさんの本のページの様でもあった。なににせよ、小さな私は小さなものが大好き。

 会期は7月31日まで。Bunkamura ザ・ミュージアムのサイトへはこちらからどうぞ。フェリシモさんプロデュースのジュイの布地も、ショップで購入できます。




 銀座ACギャラリーでのグループ展、「ジュエリーとBOX展」も、9日から始まっています。ACさんが、現オーナーの赤瀬さんに引き継がれての10周年展でもあり、オープニングも賑やかに、心温まる集まりでした。35名の作家の様々な作品をお愉しみください。カワダはもう一度、14日の木曜日、夕方4時頃から7時まで在廊いたします。会期は16日まで。

 会場の都合で↑のようには飾れないのですが、スタッフの方にリクエストして頂けたら、奥に隠してある(?)ものも全部見られます。少しずつお嫁入りしているようですので、ぜひお早めに♪