6 Sept 2016



季節のうつろい

 9月に入っても、まだまだ蒸し暑く、ご近所さんと行き会えば、そんな会話をいつまでも飽きずに繰り返しています。それでも季節の時計は、間違うということがない。新生姜の季節です。JAの直販所で一束買ってきて、お昼にお味噌を付けて食べました。辛い。残暑にしおれていた背筋が、シャンとしました。

 根生姜も直販所では安く手に入る。今までは、ある料理家オススメの方法、台所の棚に掛けたカゴに入れて保存していたのですが、カビが生えない代わりにすぐ乾燥してふにゃふにゃになってしまう。もったいなかった。料理家の人ほど、消費のペースが速くないのが理由だと思う。

 インターネットで調べると、瓶やタッパーに水を張って、そこに洗った生姜を入れ冷蔵庫へ。数日おきに水を替えていればひと月も持つのだとか。まだまだ知らない知恵がいっぱいあってうれしい。さっそく試しています。うまく行きますように。




 若い頃に読んだ、画家の有元利夫さんの本のなかの「配達される才能について」というエッセイに、家の中の5か所ほどに必要最低限の絵を描く道具を置いていた、という話があります。それを思い出したのは、台所でも絵が描けるように、上のような絵具箱をテーブルのすみっこにセットした後でした。

 無意識にでも有元さんからの影響を、かれこれ30年くらい引っ張っていた自分が、物持ちのいいおばあさんみたいで可笑しくなります。

 有元さんは、「自分を信じていない」と書かれている。画室に行かない限り、自分は絵を描かない人なんじゃないか、と。それでパンケーキの水彩絵の具と水入れを5セット、家中に置いてあった。

 それを聞いて、友人が反論する。

 「それは一種の不信感かもしれないけれど、もっと大きなところ、レベルの違うところでは信じているのではないか。・・・いつも受け入れ態勢を整えておけば、必ず『天命』は来ると信じているだろう」

 そう詰め寄られた有元さんが、「まあね」と答えるしかなかったとあるのもいい。それを自分の「開き直り」と締めくくっているのも、恐れ多いけれど共感します。

 この『女神たち』と言う本、もう一度読み直そう。
 



 さて、前々回のブログに書いたイモ子のその後です。一昨日、とうとうこのような美しいお姫さまに生まれ変わりました! 朝起きて、すぐに発見しました。羽化後間もなくと思われます。

 目の当たりにすると、こんなにも感激するものなのですね。幼い頃に観た蝉の羽化以来。その「瞬間」に立ち会えなかったのは残念ですが、はらぺこムシャムシャ芋虫だったあのコが、と思うと、魔法を掛けられたような思いと親心みたいなのがないまぜになって、たまりませんでした。

 1時間ほどこうしていたでしょうか。少し目を離した間に、どこかへ飛び立った。その時のロス感と言ったら!

 でも昼過ぎに花の水やりをしていると、ものすごい活発に飛び回るキアゲハが一羽。ああ、挨拶に来てくれたのか、または羽化ポイントからそう離れることなく活動する習性なんでしょうか。とにかくうれしかった。

 インスタグラムにアップしたら、この夏4羽も羽化をさせた方がコメントを寄せてくださった。来年は私もやってみようかな。夏の間は山椒の木に、いつでも幼虫がみつかりますから。パセリの大鉢を準備して・・・。