15 Aug 2017




ことば

 先日の「クローズアップ現代プラス」は、よい内容だった。子どもたちと一緒に世界中で起こっている、紛争や戦争について、テロについて、考えるという企画で、人気子役の子どもたちによる、美輪明宏さん、池上彰さんたち大人との対談を、興味深く観ました。

 美輪さんの戦争体験、被爆体験。「そこから得たものはなにか」と問う子どもに、「反骨精神」と言い切る美輪さんの姿には胸打たれた。

 難民として、文字通り必死の思いで国を出た子どもたちの描いた絵。それをアニメーションにした映像は、意味ある試み。↑にリンクした番組のサイトで観られます。

 シリア難民の15歳の少女の言葉を思わずメモした。


  「私は絵を描くことが好き。希望も悲しみも、絵に込められるから」


 過去の戦争のこと。この季節は特別によくよく思いを馳せ、特集番組を観て、直視に堪えないひどい出来事に向き合う。体験した人の苦しみは、ひ弱な自分がいくら頭に描いてもしきれない、想像を絶するものであるのだから。

 近年、私たちの親の世代が、これまで誰にも言えずにいた酷い体験について語り始めています。自らの老い、今語らねばと言う思いと、他にも様々な思いに突き動かされてではないでしょうか。そのような貴重な証言を含む番組が、今日もオンエアされていた。

 翻訳家で東大名誉教授の柴田元幸さんが、こんな本を出されている。




 日本国憲法制定時に、外国の国々へ向けて英訳された平和憲法。それを、また日本語へと柴田さんが翻訳なさった本です。社会の授業で教えられたものとは言葉づかいが違います。身近で平易な文体となっている。名翻訳家の手によって、内容のニュアンスもよく伝わる。木村草太さんが監修しています。朗読CDも付いています。

 ご興味のある方もおいでかと、紹介したく思いました。今日のこの日に。祈りとともに。




 もう一冊、最近読んだよい本。料理家の有元葉子さんの『使いきる。』と言う本。

 このキッチンミトンは、もう何年もこんな風に繕いながら愛用しています。有元さんのようにおしゃれな方も道具を繕って使われているのだと知り、身近に感じて嬉しかったし、「台所には、台が必要」との一文に刺激され、活用されていなかったミニワゴンをプチ改造したりしました。これは本当に、あると便利です。




 副題の「整理術」と言う言葉に引かれて図書館で借りたのですが、終わりに近づくにつれ、食材や道具を使いきることに限らない、有元さんの深い思いが伝わってきます。

 必要な言葉とは不思議なもので、数珠をつなぐように、続けて目の前に現れることがありますね。昨夜の日曜美術館は魯山人が特集でしたが、ゲストの樹木希林さんの言葉がよかった。


  「持って生まれたほころびを、繕いながら生きている」


 これからこれを私のマントラにしたいくらい。有元さんの本に教わった「使いきる」にぴったりと重なり、番組を観ることができた偶然に感謝しています。