10 May 2018




黄瀬の里

 御殿場が源の黄瀬川と言う川があります。先日ジャズライブに出掛けた裾野市中央公園内にある5つの滝も、黄瀬川の一部です。下流に向かって長泉町には「鮎壺の滝」もある。その流れが伊豆の狩野川に合流する少し手前、沼津市と清水町の境目当たりに、黄瀬の里がある。

 「黄瀬の里」はお相撲の「稀勢の里」とは縁もゆかりもない私の勝手な造語。川を挟んで、東にお花屋さんの giverny さんが、西に古書店ギャラリーの weekend books さんがあり、私にとって地元文化圏の横綱的位置づけというか・・・、あれ、やはり相撲か。とにかくそこへ出かけることは、都会の人が、仕事帰りにちょっと一杯やりにバーへ、みたいな感じといいましょうか。ほっとする。

 何年も前のある寒い夕方、西の weekend books さんへ出掛けた日のことです。ちょうどイベントの「庭マルシェ」の相談会か反省会かをなさっていた。若くて礼儀正しい男性や女性に、高松さんが私を紹介してくださった。私が東京のレッスンを、自由学園明日館で毎月行なっているというと、びっくり顔の人たちがいた。「僕たち来月、そこで結婚式を挙げるんです!」と仰ったのが、何を隠そうお花屋さんの giverny のお二人。日程を伺うと、なんとぴったり私の講座の日時ではありませんか。シンクロニシティ? セレンディピティ?

 ゾゾっとするほどの遭遇のおかげで、光栄にも素敵な結婚式にも参列させて頂き、以来時々お花をお願いしたり、油を売りに行ったり。愛らしい奥さん、Satomiさんは、私が新しい帽子を被って行けば決して見逃さず、「センセイ、かわいい~~」と褒めてくださる。可愛い人から可愛いと言われるのは、二倍にうれしい。ご主人の三保さんは、私と入れ違いくらいにロンドンへお花の勉強に行った方。彼の地での思い出話に花が咲く。トップの写真、ちっちゃなちっちゃな、チーズみたいなお家の置物も、giverny さんで頂いたもの。お花も小物もおしゃれ。




 これは今年 giverny さんにご依頼頂いた、母の日のためのミニカードです。なんの制約もなく、嬉しく有難く描かせてもらえて、デザインまで任せてくださった。母の日の前のお花屋さんは、徹夜態勢での仕事だそうです。今年も頑張られていると思います。このカードが、少しでもお役に立ったなら幸せです。(母の日の切り花やアレンジメント受注は終了されたようですが、鉢物はまだ店頭にあるそうですよ。)

 話戻って「油を売る」と言えば、weekend books さん。giverny のお二人は私の子どもと言っていい年代の方々で、いつも若いエネルギーを充電させて頂くのですが、weekend のおふたりは、ちょうど私を挟んでちょっと先輩のご主人、高松さんと、ちょっとお若い奥さま、美和子さん。知識豊かなお二人との同世代トークは尽きることがない。音楽、映画、本、文化、同じ時代を観てきた者同士の他愛ないおしゃべりが愉しい。

 多くの魅力的なイベントを次々企画されて、大忙しのお二人ですが、なるべくゆったりされているような時を狙ってお伺いする。おしゃべりしたいから。 




 これはアーティストの Uqui (雨氣)さんの作品。weekend books さんでの展覧会で、左と中央のお作品を分けて頂いたとき、「ほんとは10個も20個も欲しい」と私が口走ったのを覚えていてくれて、先日の三島のグループ展のお祝いにと、右のひと瓶をくださった。ちょうどお忙しい企画展の最中でしたから、観に行けなくてすみませんとのお言葉と共に。うれしかった。本当にありがとうございました。

 小さな小さな薬瓶の蓋に、美しい貝殻やサンゴのかけらが金継ぎであしらわれている。ラベルも中身も魔法がかっている。

 どこでどうやって、こんな不思議な作品を作る人々に出逢われるのでしょう。

 


 この13日、日曜日からは「Lu Ra Luu ~ル・ラ・ルゥ~2 あの日の少女たちへ」というお洋服やぬいぐるみやブローチ、ベレー、付け襟、かごバッグなどなどの展覧会が始まるそうです。来月6月3日からは「ドライフラワーミュージアム」、24日からはかごの展覧会「水無月のかごマルシェ」と、案内状も素敵です。




 都内や遠くからもファンが駆けつける素敵なお店。高松夫妻の笑顔とともに、私の木の葉のポスターもお客さまをお迎えしています。(光栄!)

 ぜひ、初夏の黄瀬の里へ♪